小泉純一郎元首相は1日、外国特派員協会（東京都千代田区）で記者会見し、東京五輪の招致活動の中で安倍晋三前首相が東京電力福島第一原発の現状について「アンダーコントロール」と発言したことについて「（原発は安全だという）経産省の言い分を信じていたんだろう」と振り返った。さらに経産省に対しては「よくぬけぬけと頭のいい経産省の人たちがこういう嘘を言っていたなと。過ちを改めればいいなと思っているんだけど、まだ改めていないね。残念でならない」と語気を強めた。 【動画】福島原発事故から10年　小泉純一郎・菅直人元首相が会見

会見する小泉純一郎元首相

　小泉元首相自身も「（当初は）原発は安全だ、コスト安い、CO2出さない、クリーンエネルギー。推進論者を信じていたんですよ」と説明。「それを自分なりに勉強してみて、これ全部嘘だと分かったから（原発ゼロに）転換したんだよ」と経緯を説明した。 　自らの経験から、福島原発事故の後に安倍前首相とゴルフをした際に、「経産省にだまされるなよ、だまされているんだぞ。原発は安全、コスト安い、クリーンエネルギー。なんて答えるかと思ったらね苦笑して何も答えないんだよ。それっきりなんだけど」と語った。

「311から10年」前に小泉・菅元首相

　この日、小泉元首相は3.11原発事故から10年が経つのを前に、事故当時の首相であった菅直人元首相とともに会見。2人は日本における原発ゼロを目指す点で一致している。小泉氏は「原発の問題は与党も野党もない全国民の関心事だ。お互い政党の枠を超えて、将来日本が原発ゼロで発展できるようなそういう国づくりにまい進したい」と述べた。 　菅元首相は「いま原発（推進）を言っている勢力は、いわゆる原子力村と言われている人たちだが、既得権益を守るために言っている。もういまさら新しい原発を作っても価格が3倍くらいになっているので、採算が合わないことが分かっている。あるいは使用済み燃料の処理がきちんとできないことも分かっている」と主張。再生可能エネルギーによって国内の消費電力はまかなえると語った。