TikTok が検索連動型広告を開始したが、広告主はまだGoogleへの広告費を分配し直すことをためらっている
広告業界が見守る次の一手
メディアエージェンシーのブレインラボ(BrainLabs)で有料ソーシャル担当バイスプレジデントを務めるジョン・モリーナ氏は次のように説明している。「我々の観点から言うと、TikTokは自社の検索ツールを従来の検索の代替として位置づけ、ほかのチャネルから予算を調達できないかと尋ねている。しかし我々は、これはアプリの追加の広告枠で、パフォーマンスの要件に応じて最適化したり、予算の増額を提案したりするものと見ている。従来の検索の代替または競合とはみなしていない」。 ただし、それは時間とともに変わるかもしれない。モリーナ氏のような広告会社の幹部はTikTokの動きを慎重に観察しており、こうした検索連動型広告が購入決定などの具体的な行動を実際に促進できるかどうか興味深く見ている。しかしこれまでのところ、初期のテストやケーススタディでは関心が投資に結びついていない。彼らは、決断を下す前にもっと証拠を見たいと思っている。 その理由はこうだ。マーケティング会社のティヌイティ(Tinuiti)がクライアントに代わってTikTokの検索連動型広告をテストしたところ、ほとんどのクライアントで既存の検索エンジン、さらにはTikTokのインフィード広告と比べてもCPCとCTRが低かったと、ティヌイティのイノベーションおよび成長担当シニアディレクターのジャック・ジョンストン氏は述べている。 ただし、違っていたブランドも2つあった。これら2つのブランドでは、通常のTikTokキャンペーンよりも高いCPCとCTRを達成しただけでなく、TikTok検索がCPC、CTR、ROASでGoogle検索を上回ったという。 そして、そこにこれらの広告に関する問題の核心がある。たしかに、表面的にはこれらの数字は有望に見え、メディアプランのほかのどことも異なる、新しいパフォーマンスの舞台となる可能性を示唆している。しかし結局のところ、ただ有望であるということにすぎない。そしてTikTokが、それを有望なものから実証されたものにするまで、ほとんどのマーケターは財布を開こうとはしないだろう。 「TikTokの検索連動型広告の初期パフォーマンスは好調に見えるが、より多くの広告主がテストを開始し、さらには同じキーワードに対して入札しはじめたときに、どのような展開になるかをチームで見ていく必要があると考えている」と、プログラマティック広告プロバイダーのベイシステクノロジーズ(Basis Technologies)でソーシャルおよびパートナーマーケティングソリューションのグループバイスプレジデントを務めるコリーン・フィールダー氏は語った。 そして、それはTikTokの問題のほんの一部に過ぎない。