いつも笑顔を絶やさない圧倒的ムードメーカー。川崎フロンターレU-18・齊名優太がこのチームにいる価値 高円宮杯プレミアリーグEAST 横浜FCユース×川崎フロンターレU-18マッチレビュー
84分。柴田翔太郎が左CKを入れると、混戦からこぼれてきた球体は6番の目の前に現れる。丁寧に蹴り込んだシュートはGKを破ったものの、カバーに入った相手の選手がスーパークリア。ゴールの女神は齊名に、勝利の女神は川崎U-18に、微笑まなかった。
U-12から過ごしてきたアカデミーでの時間も、確実に終わりが見え始めている。「小学生の頃は10番でキャプテンで、ちょっとみんなの“嫌われ役”だったかもしれないですね。盛り上げる系ではなくて、結構厳しく引っ張っていく感じでやっていたと思います」。日本一も経験した小学生時代を振り返りつつ、齊名は改めて今の自分が担うべき役割について、こう口にする。
「みんなおとなしくはないんですけど、イジられ待ちみたいな感じの子が多いので(笑)、自分が率先してイジっていますね。あとは良いプレーは褒めますけど、悪いプレーは指摘したりしないとチームも成長していかないので、そこは意識してやっています。今はキャプテンの(土屋)櫂大とか、引っ張っていく係の役割が決まっているので、自分はそれに付いていきながら、もっと雰囲気を盛り上げるみたいな形でやっていますね」
このチームだから、できることがある。このチームだから、やりたいことがある。残された2か月余りの時間は、もう1秒も無駄にしたくない。
「みんなとサッカーできているのが楽しいですし、自分は楽しみながらサッカーをすることで一番成長できると思っているので、今はその中で練習の雰囲気も強度高く、楽しくできているのかなって。この仲間と一緒にできるのも残り数か月なので、やっぱり試合にもっと関わりたいですし、その中でしっかり勝っていきながら、みんなで成長していきたいですね」
川崎U-18に笑顔の花を咲かせ続けてきた、チームきっての元気印。かけがえのない仲間とともに、サッカーボールを追い掛けたアカデミー生活の集大成。齊名優太は自分に求められている役割を120パーセントで果たしながら、明日のグラウンドでもみんなの背中を後押しするような声を、誰よりも大きく、誰よりも優しく、響かせていく。
土屋 雅史
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