ジンベエザメ「海くん」はなぜ死んだのか 「人間の都合」「かわいそう」放流1カ月の悲劇
■弱って流れついた?
海遊館によると、放流する前には海で生きていけるか健康状態をチェックしており、今回も放流に問題がないことを確認していたという。
では、河口で死んだ理由として、どのようなことが考えられるのか。
沖縄美ら海水族館の統括で、沖縄美ら島財団総合研究所の佐藤圭一上席研究員(軟骨魚類学)によると、ジンベエザメはエサの豊富な場所を求めて回遊しており、魚群と一緒にいることが比較的多い。このため、沖合で漁業用の網にジンベエザメが入る例は珍しくない。また、ジンベエザメには好む水温があり、エサを追いつつ、適切な水温を求めて移動したり潜ったりすることもある。だが、「好んで河口に入ることは基本的にない」という。
海遊館は「海」を回収して高知県内の施設に持ち帰り、詳しい調査を続けている。佐藤氏は「ジンベエザメは1、2カ月の間エサを食べなくても大丈夫」とした上で、「何らかの理由で衰弱し、たまたま沖合から河口に向かう潮の流れに乗って入ってきてしまった可能性がある」と推測した。(前原彩希)