【学生長距離Close-upインタビュー】エースに成長した亜細亜大・片川祐大「箱根はやっぱり走りたい舞台」
大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。39回目は、亜細亜大の片川祐大(4年)をピックアップする。 【学生長距離Close-upインタビュー】悔しさ糧に成長した中央学大・近田陽路 「全員がいい記録を出せるチームに」 兵庫・報徳学園高では貧血やケガに苦しんだが、亜細亜大ではじっくりと土台を固めて成長。3年時に5000mで初の13分台をマークすると、10000mとハーフマラソンでも自己新を出した。 今年4月の金栗記念10000mでは日本人トップの5位に食い込み、5月の関東インカレでは男子2部5000mで4位に入るなど勢いに乗る。チームのエースで主将として学生ラストイヤーを迎えており、これまでの歩みや今季の目標などを語った。
金栗記念で日本人トップの快走
高3の夏まで5000m15分台だった男が、今や学生長距離界のトップランナーへと成長を遂げようとしている。 今年4月13日、金栗記念の男子10000mで、ひときわ光る健闘を見せたのが、亜細亜大の片川祐大(4年)だ。 「7月のホクレンディスタンスで27分台を狙いたいが、もともとの自己ベストだと(設定タイムが速い)上の組で走るのが難しい。自己ベストを更新することを考えて走りました」 その狙い通りに、昨年5月にマークした28分27秒51を大幅に更新し、28分11秒20の自己新記録を打ち立てた。目標の27分台は、いよいよ射程にある。 「タイムだけを狙っていたので、まさか日本人トップとは! 驚いています」。こう振り返るように、自身も驚くパフォーマンスで、昨年の日本選手権10000m5位入賞の小林歩(NTT西日本)、吉居大和(トヨタ自動車)にも先着。日本人トップの5位に入る活躍だった。 5月の関東インカレ(2部)では、10000mは入賞を逃したものの、5000mでは終盤まで先頭集団に食らいつき、4位(日本人2位)に入った。同大会では2年時に5000m8位、3年時に10000m5位に入っており、3年連続の入賞。確かな存在感を示している。 片川は「50mが速くなりたい」という理由で中学から陸上を始めた。当初は短距離だったが、「たまたま同級生が速くて……」。100mでは大会に出場することもできなかったという。そこで、400m、1500mと次第に距離を伸ばし、長距離になった。 高校は兵庫の名門・報徳学園高に進学。しかし、高校3年になるまでは5000mで15分を切ることもできなかった。「貧血や故障をひたすら繰り返していた」と言い、駅伝のメンバー争いにも絡めず最終学年に。記録も結果も残せず、「陸上で大学に行くことは無理だろうな」と思っていたという。 さらに、新型コロナウイルスの感染が拡大。高校ラストイヤーで巻き返しを図るつもりが、緊急事態宣言が出され、部活動もままならない。「ここで頑張らないといけないのに、このままでは高校3年間を棒に振ってしまう」という危機感ばかりが募った。