パリ五輪は「やりきれなかった」…女子バスケ・町田瑠唯(31)が明かした、“涙の理由”と日本の強み
絶対に負けられない試合
ーー昨シーズンのWリーグ決勝戦(富士通対デンソー)は、とても見応えのある試合でした。富士通が優勝を決めると、普段は冷静な町田選手がめずらしく感情を昂らせた場面も……。 町田 富士通にとって16年ぶりの優勝でした。やっと優勝できた喜びと、今までチームを支え一緒に戦ってきた先輩方や仲間たちのことを思い出して、涙が止まらなかったです。 ――優勝して環境や考えが変わったことはありますか。
優勝の翌日から考えていたこと
町田 うーん、ないかな。喜んだのはコートにいた時だけで、翌日になったらみんなも来シーズンを見据えていましたね。優勝するだけでも大変。でも勝ち続けることの方がもっと大変ということをみんなよく知っているので。 それに優勝したと言っても、プレーに満足していたわけじゃなかった。チームとしての課題もたくさん残っているので、次も優勝するためにその課題をどうクリアしていくか、みんなすぐに考え始めたんじゃないかなと。だから、優勝して浮かれる……という空気はなかったですね。
「今、何した?」と驚くようなプレー
――チームとしての課題、というと? 町田 細かいことを言ったらいくらでも……(笑)。私たちの武器はディフェンスですが、上手く機能しなかったり、波がある試合もあったのでそこは詰めていきたいです。 ――町田さんの試合中のプレーにはいつも驚かされます。「えっ、そこ」とびっくりするようなところにパスを出すし、「今、何した?」と驚くようなプレーが多い。コート全体が俯瞰して見えているんでしょうか? 町田 天井から俯瞰する感じではないですが、味方や相手がどう動いていくかはだいたいイメージできます。だから裏をかくプレーを考えるんです。たとえば相手がパスを読む動きをしていると判断すれば、またその裏をかく。試合展開によってはトリッキーなパスを出すこともあるけど、チームメイトはほぼ対応してくれていますね。
日ごろからチームメイトを観察
――PGはチームの司令塔。言うならコート上の監督です。その難しさは何ですか? 町田 選手個々の能力を試合で引き出さなきゃならないので、日ごろからチームメイトの癖や考え、好み、その日のコンディション、気分などを観察しています。自分の潜在能力に気が付いていない選手がいたら、パスでそれを引き出せたらと思っています。 例えば「もっと走れるかな」って思った選手がいれば半歩ぐらい先にパスを出したり、「このくらいまで跳べるかな」って選手がいたら、指半分ぐらい高いところにボールを送ったり。さすがに競った試合ではやりませんが、一人一人が挑戦する機会を増やすことができたらと思うんです。