7月の山岳遭難は最悪ペース…山の診療所と麓の病院の検診で遭難防ぐ リアル“マウンテンドクター” ドラマの医療監修も務める医師が語る山岳医療のリアル
実際に登山者が凍傷を負ったケースでは
冬山シーズンのある日、登山者が手に凍傷を負いました。数日経つと壊死した部分が黒ずみますが、初期の段階では程度が良くわかりません。 その日は平日で医師が不在。山小屋のスタッフが写真と症状を市川医師に送って判断を仰いだ結果、救急搬送につなげました。指の一部は切断することになりましたが、判断が遅ければ更に悪化していたということです。 赤岳鉱泉山岳診療所・市川智英医師: 「まったく薬が無い中で、できることって何があるのか不安だったんですけど、重症化を食い止めることは出来ているのではないかと思います」
高齢者に多い体調不良の遭難を防ぐ「検診」
2023年の1年間に長野県内で発生した山岳遭難は過去最多の302件。滑落などのほか病気や疲労によるものも多く、今シーズンも高齢の登山者を中心に体調不良で救助されるケースが相次いでいます。
松本協立病院の医師: 「肺活量の検査やっていきますね」 そこで、登山の前に自分の体の異常や体力を把握する検診を始めました。登山が趣味のNBSのデスク(61)が実際に受けてみました。 肺活量やエコー検査などに続いて最後に行うのがCPX「心肺運動負荷試験」です。自転車を最初はゆっくりと漕ぎ始め、徐々に強度を上げて心電図や血圧を測定します。運動しながら測定することで登山時の狭心症や不整脈などのリスクを発見しやすくなるといいます。
検診で100人中15人位に心臓の異常が見つかる
結果は―。 松本協立病院・市川智英医師: 「心臓に関しては現状では大きな問題は無いと思います。標準コ-スタイム通り登ってプラスアルファで少し休憩するくらいで登れば適切なペースになります」 とりあえず一安心ですが、これからも山登りを続けたいならもっと積極的にトレーニングをする必要があるとのこと。甘やかしてはくれません。 登山者検診では100人中15人位に心臓の病気が見つかるといいます。 市川智英医師: 「想像以上に病気の方が多くいらっしゃる。山で突然死される方は氷山の一角で実際にはギリギリの状態で登っている人たちがいっぱいいると思います」