和倉の護岸復旧、年明け着工 石川県や七尾市が取得し一体修繕
●26年度完了へ 能登半島地震で損壊した七尾市和倉温泉の護岸について、石川県が年明けにも復旧工事を開始する見通しであることが24日分かった。被災した一部の民間護岸を県や七尾市が年内に取得し、修繕に着手する。完了は2026年度中の予定。北陸屈指の湯の街の再生を急ぐことで、能登に加え、金沢や南加賀の観光振興にもつなげる。県12月補正予算案に事業費が盛り込まれるとみられる。 ●所有者が混在 全長約3・5キロある和倉温泉の護岸は、場所によって所有者が行政であったり、民間であったりと混在している。民有の護岸修復には多大な費用がかかるため、所有する旅館が大部分を県や市に「公共帰属」させる形で公有化し、一体的に修繕する。 3・5キロのうち、県が復旧工事を担うのは民間管理の計約1・2キロ。現在は公共帰属の手続きや設計作業を進めており、いずれも年末までに終了し、年明け以降に整備に入る流れとなる。 復旧工事では、沖合に積み上げた石の上に鉄板を敷く工法で幅10~15メートルの仮設道路を造成。海側から重機を投入して崩れた護岸や土のうを撤去し、新しい護岸を設ける。工事用道路に用いた石は海底に沈めることで護岸を支え、魚が集まる藻場としても活用する。 和倉温泉の護岸では、元日の地震発生後に複数箇所で崩落や亀裂が生じた。これを受け、国土交通省や農林水産省、県、市、和倉温泉の関係者による会議で復旧方針を策定。海沿いに並ぶ旅館・ホテルからの眺望に配慮し、原則として被災前と同じ位置や高さで護岸を再整備することにした。 また、和倉港内にある七尾市所有の護岸計約0・4キロについては、国が市の権限代行で年内に復旧に着手する予定となっている。県などは国に対し、今年度補正予算に整備費を計上するよう要求している。