「梅毒」に感染した妊婦 2023年は383人と過去最多、都心部の20代前半に顕著
国立感染症研究所が発表した内容に対する受け止めは?
編集部: 国立感染症研究所が実施した妊婦の梅毒感染に関する発表について、受け止めを教えてください。 佐藤先生: 梅毒感染が女性の間で急上昇しており、それにより妊婦の感染者も増加傾向にあることが発表されました。胎盤を通じて胎児に感染してしまうと、流産・早産や子宮内胎児死亡、胎児発育不全の原因となります。また、生まれてきた場合にも先天梅毒により、骨や脳神経、目、耳などの臓器に障害を残す可能性があります。 妊婦健診では、妊娠初期に梅毒感染のスクリーニング検査をしているので、定期的に健診を受けて早期発見・治療することが重要となります。また、どこの医療機関に受診しないまま出産を迎える「未受診妊婦」が、梅毒感染などで胎児に影響を及ぼす可能性が高くなります。未受診妊婦を減らす取り組みも、より一層強化される必要がありそうです。
編集部まとめ
国立感染症研究所によると、2023年に性感染症の梅毒と診断された妊婦は速報値で383人となり、統計を開始した2019年以降で最も多くなったことが明らかになりました。妊婦健診では梅毒検査もできるので、母子感染のリスクを減らすためにもこうした検査をしっかり受けることが重要になりそうです。
【この記事の監修医師】
佐藤 綾華 先生(医師) 北海道大学医学部医学科卒業。宮城県の急性期病院で初期研修修了後、産婦人科を専攻し、宮城県の複数の総合病院で勤務したのち産婦人科専門医を取得。生殖医療分野と女性医学分野に興味を持ち、日本女性心身医学会認定更年期指導士の資格も取得。