【独自解説】政府が言う「100年安心」は本当か?5年に一度“年金の健康診断”で見えてきた、世代別「得する人」・「損する人」 経済の専門家が、将来に向けた4つの提言「50代からでも遅くない!」
4つあるシナリオの①「高成長実現」(実質経済成長率1.6%、実質賃金上昇率2.0%)の場合の所得代替率は56.9%となります。シナリオ②「成長型経済」(実質経済成長率1.1%、実質賃金上昇率1.5%)の場合ですと所得代替率は57.6%となります。一番現実に近いといわれるシナリオ③「過去30年投影」(実質経済成長率-0.1%、実質賃金上昇率0.5%)の場合の所得代替率は50.4%となり、まだ下限を下回らないとしています。最後にもっと経済が悪くなるシナリオ④「ゼロ成長」(実質経済成長率-0.7%、実質賃金上昇率0.1%)の場合の所得代替率は45.3%となります。これらの数字は「合計特殊出生率」や「平均寿命」なども加味したものとなっています。加谷氏は、「シナリオの①『高成長実現』と④『ゼロ成長』については前提条件が非現実的」だとしています。 Q.今の日本の経済状況はシナリオ③に近いですか? (加谷氏) 「そうですね。(下限までいっていないので)これでギリギリ『100年安心』と政府は言っているわけです」 Q.最後のシナリオ④「ゼロ成長」は本当にないのでしょうか? (加谷氏) 「可能性ゼロとは言いきれませんが、今インフレも進んでいて、企業もデジタル化や人材登用も積極的にしなければいけないという意識改革も進んでいますので、普通に経済運営・企業運営を行っていけば、②くらいのシナリオを諸外国は普通に出しています。よほどサボらないと④の「ゼロ成長」はないと思います」
この試算に対し、立憲民主党の長妻昭政調会長は「政府の試算は楽観的過ぎる。所得代替率が50%を超えるように逆算して作っているのではないか。総選挙も近いので『健康ですね』 としたのではないかと疑念を持っている」とコメントしています。そして「実質賃金上昇率は0.0%で計算するべき」で、合計特殊出生率も2023年の1.20が試算では1.36となっていて「今より上がるのもおかしい」と指摘しています。 Q.この政府の試算は甘いという指摘はどうなのでしょう? (加谷氏) 「長妻政調会長の指摘は基本的には合っています。甘めの数字だというのはその通りだと思います。ただ、政府の二大政策は『少子化対策』と『賃上げ』なんです。その最中に『賃上げゼロ、出生率も上がらない』という前提でこの試算を組んでしまうと、社会や企業に『何にもしなくていいですよ』と言っているのと同じことになってしまうので、『少子化対策』と『賃上げ』をやることを大前提にしましょうというメッセージが入っていると思います」
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