【独自解説】政府が言う「100年安心」は本当か?5年に一度“年金の健康診断”で見えてきた、世代別「得する人」・「損する人」 経済の専門家が、将来に向けた4つの提言「50代からでも遅くない!」
シナリオ②の「成長型経済」が実現した場合、今年度29歳の人が年金を支給される36年後には年金額が月に11万2000円、年にすると134万4000円増え、マクロ経済スライドの調整も2037年に終わるといわれています。その実現のために加谷氏は「日本の古い企業体質が改善できれば、あり得ない数字ではない」としています。 Q.具体的に古い企業体質とは? (加谷氏) 「例えば、女性というだけで良い立場に就けていない人がたくさんいます。デジタル化を推進しようとしても、ハンコが必要だったり、下請けや取引先に急激な値引きを要求するような古い商慣行であったり、見直すべき点はたくさんあります。これを諸外国並みの状況にできれば、このシナリオは簡単に実現できますし、年金には劇的に効いてきます。ですので、今の企業経営を少し改善して成長させるというのが一番良い解決方法ではないでしょうか」 Q.年金に課税すると消費が伸びないのではと思うのですが? (加谷氏) 「特に年金が少ない人への課税は負担が重いです。ですので、例えば高額所得者には年金に課税をして、そうじゃない人からは取らないなど、マイナンバー制度も入れているわけですから、メリハリをつけた制度を整えないと不公平感も出てきますし、効果も薄いんじゃないでしょうか」
将来へ備えて、加谷氏からの提言です。「基本は長く働き、繰り下げ受給!」そして「政府が見送った『国民年金』の納付期限“5年延長”再議論を!」、次に「持ち家がカギ!地方移住のススメ」、最後は「iDeCo&NISAなど個人年金を作るべき! 50代でも遅くない」とのことです。
Q.納付期限の5年延長は必要ですか? (加谷氏) 「国民年金だけの人は、5年余計に納付しなければならないので負担感が増しますが、もらえる年金の額は増えます。10年で元が取れるんです。また、サラリーマンの多くはたいてい65歳まで働きますから、最初から納付していますので、5年延長になっても事実上追加負担はありません。ですので、国民にとってはプラスの方が大きいのでやった方がいいと思います。 Q.地方移住も考えないとだめでしょうか? (加谷氏) 「この年金額では持ち家がないと厳しいです。一方、地方には破格の値段で手に入る住宅がありますので、利便性との関係もありますが、持ち家をどうするか考えた方がいいと思います」 Q. iDeCo&NISAなど50代でも間に合いますか? (加谷氏) 「人生80年・85年ですから、50歳で初めても35年も運用期間がありますので、あくまで余裕資金の範囲で、損失が出ることも理解した上で、自分でお金を増やす努力もある程度必要になってくると思います」 (「情報ライブミヤネ屋」2024年7月8日放送)
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