「2024年物流問題」で揺れる現場の生の声を清水和夫が聞く。働き方改革を自動運転やトラックGメンが救うとは?
フェリー、鉄道…陸送トラックの代わりはあるが…
吉田:ひとつ言われているのがフェリー。九州とか東北とかは農産物とか水産系とかのいいものがとれるわけです。それが東京の銀座とかに集まり、築地、豊洲などに集まってくるんですけど。そこを例えば九州を出発して今まで翌々日着とか、昔はそれこそ翌日着とかで走っていた。鹿児島で積んで日が変わるくらいまでに築地、豊洲に着けるということをやっていた。それがだんだん難しくなってきたら、まずフェリーに乗せて、その間はフェリーに乗った上船時間は高速時間からは外せる。あとはモーダルシフトという鉄道に乗せたりとかはするんですけど。フェリーも数が決まっている。今、フェリー予約はちょっと取りにくくなっているらしいんです。 清水:もういっぱいで。 吉田:鉄道って日本全国、JRの持ち物で線路が張り巡らされているんですけど、貨物会社はJR貨物のただひとつのみ。JR貨物はJR旅客の線路を借りているので、旅客優先のダイヤなので、そんなに数を増やすことができない、限度があるんです。
運賃の値上げ、自動運転トラック…解決策はあるのか?
清水:この難問というか課題を、どういう風に解決していけばいいんでしょうか。吉田さんは実際の事業者さんとして。 吉田:綺麗ゴトで言えば、1便あたりの運賃を上げて、走る回数が少なくても収受する運賃が前と一緒もしくは上がって、ドライバーの賃金も上げて全員が潤う、という風なところが一番。やはり運賃の話と労働時間の話っていうのはまったく別の話になってくる。進み方も変わってくるので、やっぱりそういう風に持っていくためには、拘束時間を短くして…となってくると、この先、将来的に入ってくる自動運転などそういう風なものに期待はやっぱりしていく。 清水:なるほど。今私、ロードtoレベル4(RoAD to the L4)という政府プロジェクトの推進委員をやっていますけど、そこのテーマ3がレベル4の大型トラック物流の課題解決。非公式には大手の佐川さんとかクロネコさんは2035年くらいに1社あたり500~700台くらいの自動運転トラックを走らせたいと。目標はドライバーレス。でもそれは大手2社、日通さんも含めて力があるからできる。でも委員会で聞いたら、日本の場合、運送業者のそのほとんど、70%は中小企業じゃないですか。そんなトラック買えないよね! 吉田:そうですね。値段がなんぼするのかちょっと想像つかないです。 清水:今度そこに電動化とか、カーボンニュートラル、水素エンジン、水素燃料電池トラックとか、そこにLiDAR(ライダー)付けた自動運転! 2倍じゃきかないくらい高くなる。 吉田:5~6年くらい前までは大型トラックでいっぱい走っている完成車、吊しのクルマで大体1200万~1300万円で乗れるっていう感じだったんですけど、今もう完成車でも1500万円超えてきている。 清水:意外と安いんだな。 吉田:それはあくまでも事業用のボクらのグリーンナンバーの値段なので、個人で買ったら実際はもっと高いと思うんです。3年ほど前に三菱ふそうのキャンターBEVを乗らせていただいた。あれが大体1500万円すると。 清水:あのキャンターはダイムラーが作っている。 吉田:同じ仕様のディーゼルエンジンのキャンターだったら600~700万円くらい。BEVは倍以上するんです。 清水:あぁなるほどね。 吉田:国から補助金が700万円くらい出ますというので、じゃトントンよねって言うんですけど、その割合からすると大型トラックとかは多分5000万円くらいするんじゃないかなと思うんです。 清水:国が2000万円くらい補助金出して。でも税金だからね。 吉田:同じ運賃だったら中小企業ではまったくペイできない。