イスラエルとレバノン「60日停戦」に至った事情、弱体化したヒズボラとイスラエルが迎える試練
下位から上位へと連絡が取れなくなっていくことにより、幹部との連絡はアナログからデジタルの連絡手段に変更せざるをえなくなった。そこで幹部の位置情報が傍受され、最高指導者の暗殺に繋がったものと思われる。 ネタニヤフ首相は停戦当日の演説の中で、「1年が経過し、ヒズボラはすでに以前のヒズボラではない」と述べ、ナスララ最高指導者をはじめ多くの幹部が排除されたうえに、戦闘力は数十年前にまで弱体化したという。
IDFへの武器供給が遅延していることも明かしているが、この停戦によって自国の戦力を回復させたい狙いがある。これはヒズボラも同じで、停戦期間中に立て直しを図るはずである。 60日と限定された期間だが、決して静かに過ぎることはないだろう。ネタニヤフ首相は「停戦協定を破って先方が攻撃を仕掛けるなら、われわれは反撃する」と明言している。ガザでもハマスの残党が蠢いている。 陰で糸を引くイランが今後どう動くのか。そしてイスラエルは、ガザに拉致されたままの人質101人をどう取り戻すのか、イスラエルの試練はまだまだ続いている。
谷内 意咲 :ミルトス代表