「関ケ原」と並ぶ天下分け目の戦い「小牧・長久手」 もう知らないとは言わせない? 地元自治体が予算ゼロの「同盟」結成
豊臣秀吉と徳川家康が直接対決した「小牧・長久手の戦い」。関ヶ原の戦いに匹敵する天下分け目の戦いといっても過言ではない、歴史上重要な戦いだが、お世辞にも知名度が高いとは言えない。 国宝の城はもともとそこになかった? 犬山城に秘められた謎に迫る この知っているようで知られていない戦いを全国にPRしようと、関係する自治体が「同盟」を結んだ。当初5市で結成したが、今月新たに3市が加盟し、8市になった。来年放映予定のNHK大河ドラマ「どうする家康」でも、主人公の人生を左右する重要な戦いとして登場するはずで、同盟はさらに拡大しそうだ。
歴史好き学芸員らが声を上げた!
1584(天正12)年に行われたこの「小牧・長久手の戦い」は、織田信長亡き後、着々と天下取りへ向かう羽柴秀吉軍と、それを阻止したい信長の息子信雄と徳川家康の同盟軍があいまみえた一大決戦。愛知県内を中心に岐阜県や三重県などで数多くの戦いがあり、関連する戦いも関西、北陸、関東と全国各地で広く行われた。 しかし戦いが広域だったことや、最終的な勝者がはっきりしないことなどから、関ケ原の戦いなどと比べ知名度は今ひとつ。愛知県小牧市や長久手市といった地元ですら、あまりよく知られていないのが実情だ。
そこでこの戦いをもっとアピールしようと、主要な合戦が行われた地域の自治体に所属する歴史担当の学芸員らが声を上げ、昨年11月30日、情報発信のための「同盟」が結ばれた。当初参加したのは愛知県犬山市、小牧市、春日井市、長久手市、日進市の5市だったが、今月18日に尾張旭市、瀬戸市、そして岐阜県の可児市も参加を発表(正式加盟は1月28日付)。さらに今後、参加自治体の数は増えそうな勢いだ。大河ドラマが追い風となっているのだろう。 国宝犬山城がある犬山市が同盟の音頭を取ってはいるが、結成のきっかけをつくったのは岩崎城がある日進市、小牧山城がある小牧市、そして長久手古戦場がある長久手市の若手学芸員らだった。 普段からこの戦いの知名度の低さを感じていた彼らが「どうにかして盛り上げる方法はないか」と私的に集まって話し合っているところに、春日井市や犬山市の学芸員も参加。犬山市長がそれを聞きつけ、「ならば同盟結成を」ということになった。「首長の思い付きで市町村の担当者が集められ、協議会を設置し、予算を得て活動を行う」といったよくあるパターンではないのが、この同盟のおもしろいところだ。