【40代・50代の「性の痛み」解決】フェムケアの謎!セックスをしない&する機会がない人は、腟萎縮を放置してもいいの?
腟の萎縮は、「セックスのとき、痛くて挿入できなかった!」という体験があって初めてわかるもの。では、セックスをしていない人はどうすれば? 自分の腟の状態がわからず、放置しているとどんな不具合が起こるの?…etc. 人によってわからないことも多い「フェムケアのそもそも」。富永ペインクリニック院長・富永喜代さんがすっきり、整理&解決してくれた。
セックスをしない&する機会がない人は、「腟萎縮していても、放置でいいのか?」問題
「OurAge読者の皆さん、こんにちは。富永ペインクリニック院長、富永喜代でございます。 先日読者の方から、こんなご質問をいただきましたのでご紹介しますね。 『先生のクリニックの患者さんって、“セックスをしたら痛くて挿入できず。腟萎縮を治療をして!”という人たちばかりですよね? でも私にはパートナーがおらず、長い間セックスレスです。なので自分の腟が萎縮しているのかどうか、知る由もありません。 そういう人はこの先、“下の問題”にどんなことが起こってしまうのでしょう? 私が今からすべきことは何ですか?』 …なるほど。つまりこの方は、自分はこの先、セックスをするかしないかよくわからないうえに、自分の腟もどうなっているのかよくわからない。 『いったい何にどう備えていれば、将来的な下の問題の不安を払拭できるのか、教えて~!』ということやね。はい、承知いたしました」 確かに富永先生のクリニックに来る患者さんは、自分に何が起きているのか、わかっている人たちばかりだそう。 「でもその手前にいる、ご相談者さんのような人はきっと、潜在的にもたくさんおるのだろうな~と、改めて思った次第です。 そこで今回は、言葉だけが一人歩きをしているフェムケアについて、いったん整理して、皆さんと共有したいと思います。 今現在、あなたはどのゾーンにいるのか。またどのゾーンに入ると予防が必要なのか。自分の状況を知るうえでの、ひとつの目安にしてくださいませね」
フェムケアの「そもそも」は、3つの分野の症状のGSM対策のため
「2014年に新たな概念となった『GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)』という病名は、OurAge読者の皆さんなら、ご存じよね。 これは閉経などにより、女性ホルモンの低下が原因で起こる疾患のこと。以前は『老人性腟炎』と呼ばれていました(あんまりな病名ですけども…)。で、このGSMの症状はというと、次の3つに分類されるのです」 ①おもに泌尿器科系に該当する症状…尿もれ、尿失禁、頻尿など ②おもに婦人科系に該当する症状…外性器のかゆみ、におい、ヒリヒリを伴う灼熱感 ③おもに性交痛外来に該当する症状…腟萎縮、性交痛 また、更年期は必ずやってくるけれども、「更年期障害」「更年期症状」が出るのは、女性の2人に1人といわれている。 「年を重ねればみんな、腟まわりは劣化&老化していく。そういう中で、GSMにはなっとるんやけんども、症状が出る人は2人に1人。 さらにその中でも、婦人科の領域で症状が出てくるんか、泌尿器科の領域に出てくるんかは、その人の状況次第…というわけ。GSMを細かく分類すると、このようになっとる。 だから『ずっとセックスをしていたい』という人にとっては、③は超重要事項よね」 しかし、「私はしたくないので、セックスしません」という人にとっては特に関係ないし、「ケアが大事!」なんて言いたてられても、別に心に響かない…。 「けんど。『③は重要ではない』という人にとっても、①と②は、どんな女性にも起こりうるリスクなんよ。なので、そこを予防するためのフェムケア、というふうに考えていただけるとわかりやすいのではないかしら? この先、するかしないかわからないセックスを目的にしなくてもいいけれど、①と②のような『下の問題トラブル』から解放されるには、正しい知識でフェムケアをしておくのが大事なんです。はい、ここまで、大丈夫でしょうか?」