世帯年収1000万円超の公務員夫婦が「節税のつもりが大損」のワケ…保険に月5万円支出で失った巨大リターン
■控除目当てのムダな支出を投資資金にシフト 以上のアドバイスを踏まえ、勝俣さんは、生命保険と個人年金保険を解約して、収入保障保険に切り替え。医療保険は、保障内容をがん保険に絞りました。その結果、保険関連で月計5万円だった掛金を1万8000円へと大幅縮小できました。 住宅ローンはひとまず返済を続ける方向に。そして、スリム化した家計で増えた黒字額(13万円台→16万円台へ)は、従来のiDeCoに加えて、夫婦でNISAのつみたて投資枠に10万円ずつ運用することに。さらに、ボーナス(夫婦で年450万円)からも少しずつ投資に回しています。 勝俣家に必要な「生活防衛資金」は、調整後(表のAFTER)の家計でいえば、月の生活費約43万円×7.5カ月分(収入が途絶えても半年以上生活できる目安)で320万円程度。そこで、キリよく500万円程度は現金で置いておき、それ以外の1200万円分は、NISAのつみたて投資枠に加え、成長投資枠も使って積極的に運用を続けていこう、という方針に。 「リスクを取りたくないから」と控除に執着していた勝俣さんですが、効率的に増やす方法に舵を切ったわけです。 世間一般で「お得」とされている方法が、果たして自分たちにとっては本当に「お得」なのか。この選択が自分たちに合っているのか、あまりよく考えずに惰性で続けてしまっているケースは少なくありません。 勝俣さんの場合、そのお得が「控除」でした。大きな損はしていないけれど、支払っている保険料の保障内容がちぐはぐであったり、増やす機会を損失していたりという点では、非常にもったいなかったと思います。とはいえ、勝俣さん夫婦はまだ40歳。今気づいて、軌道修正できたのは幸いです。今後は、持ち前の堅実さを保持しながら、地道に長期運用を続けていくといいでしょう。(桜田容子=構成) ---------- 横山 光昭(よこやま・みつあき) 家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万6000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は90万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)や『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を代表作とし、著作は171冊、累計380万部となる。 ----------
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭