ポルシェ911にF1エンジン 600馬力超のレストモッド「TAGターボ」はなぜ生まれたのか
「オリジナルであること」が重要
3台のチャンピオンシップ・エディションは当初の計画にはなかったが、合計14台のTAGターボを製造するという意志は固い。もちろん、入手可能なエンジンの数には限りがあり、「保険」として1基余分に購入しているが、これを使用するつもりはない。 「エンジンをリメイクしたり、鋳造品を作り直したりすることはできます。ですが、これを購入した人の多くは、ラップタイムが目的ではありません。これはそういうものではないのです」 「F1ドライバーがF1レースウィークを走ったマシンに乗れる。これは特別なことです。ほとんどの人がそのために購入しました。マクラーレンMP4を買える人はどれだけいるでしょうか? 数人はいるかもしれませんが、そのうち運転できる人は何人いるでしょう? ごくわずかです」 「リメイクすることはできますが、同じ魂を持つことはありません。オリジナルのエンジンであることが重要なのです。マクラーレンからオリジナルのマシンを借りて、スキャンしました。これ以上、何台も作り出したら、意味がない」
レッドブルRB17の改造に挑戦
TAGターボ911は、ランザンテ氏が手がけたプロジェクトの中で「最も困難なもの」だったという。 では、次は何をするのだろう?「実を言うと、わかりません」 「多くの人が『ポルシェのプロジェクトは成し遂げたね』と言っていました。次のプロジェクトはあるのか? 市場は飽和状態です。他の人がやっていることを追いかけるのではなく、何か新しいもので先頭に立ちたい。他人を非難しているわけではありませんが、同じことはしたくない。自分の力で立ちたいのです」 インタビューの数日後、ランザンテは大きな声明を出す。 レッドブルRB17は、エイドリアン・ニューウェイ氏が設計した、11200馬力のV10ハイブリッドを搭載するサーキット専用マシンである。 レッドブル・テクノロジーのクリスチャン・ホーナーCEOは、サードパーティの手によってRB17を公道走行可能な仕様に改造する可能性を示唆し、「それが可能な企業はいくつかあると思う」と述べていた。 最初にそこに到達するのはランザンテかもしれない。同社は声明で「公道での走行を可能にするために必要なアップグレードの開発を直ちに開始する」と述べた。 完成品が待ち遠しい。
チャーリー・マーティン(執筆) 林汰久也(翻訳)