「宇都宮LRT」駅西側延伸…賛成か反対か、市長選の重要な争点に
宇都宮市で、開業2年目に入った同市と栃木県芳賀町を結ぶ次世代型路面電車(LRT)路線「ライトライン」について、JR宇都宮駅西側への延伸の議論が活発化している。11月17日に投開票が行われる予定の宇都宮市長選は4人が出馬を表明しており、LRTの駅西側への延伸が重要な争点になっている。(栃木・辻本亮平) 6期目に挑戦する現職の佐藤栄一氏は、LRTの西側延伸について「2030年の運行開始」を公約に掲げる。これまでは「30年代前半が目標」としており、時期を明確化した格好だ。定例会見でも「市民から一刻も早くとの要望が多い」と説明する。 茨城県つくば市の元副市長の毛塚幹人氏は6月、最初に出馬会見を開いた。LRT西側延伸を推進し、市街地活性化に生かす考えだ。ただ、栃木県による県立美術館、図書館、文書館を移転・一体整備する「『文化と知』の創造拠点」計画に対し、「市が予算を負担するにしても、LRT西側延伸計画区間の沿線への誘致を県に提案する」と主張する。政策集では候補地を示している。 宇都宮市の石材会社社長で公益財団法人理事長の荒木大樹氏は、LRT西側延伸について「住民投票で市民の意向を聞く」考えだ。「個人的には反対の立場」とし、駅西側にはバス高速輸送システム(BRT)を整備し、バスの完全自動運転化、燃料の水素化を目指す方針を示した。すでにLRTが運行する駅東側には半導体関連など企業を誘致し、新工業地帯を建造する計画だ。 栃木県元職員の上田憲一氏は「宇都宮市のLRTに反対し公共交通を考える会」の代表で、LRT西側延伸に「絶対反対」の立場を取る。 ライトラインは沿線以外の人々が利用するなど鉄道ファンも巻き込み、想定以上の利用者を獲得している。地域活性化のためにいかに有効活用するか議論が繰り広げられている。