能登半島地震発生から半年――被災地の高校生とボランティアによる演奏会が届けた希望
人に感謝の気持ちを伝えられる大人になってほしい
吹奏楽部の生徒たちは、今回の演奏会でとても大切なものを受け取ったようです。続いて、顧問の錦木(にしき)先生にお話を伺いました。 ――定期演奏会を終えてみて、いまはどんなお気持ちですか? 錦木さん(以下、敬称略):まずは無事に終わってほっとしています。同時に、生徒たちに笑顔が増えたことを嬉しく思います。 今回の演奏会は、生徒たちの「能登半島の人たちに元気を届けたい」との思いから企画されました。でも、生徒の中にも生活が大変な子はいましたし、本番に対する不安もあったでしょう。頑張りたいけど気持ちだけではどうにもならない状況にあった子もいたと思います。「元気を届けたい」と言いつつも、自分だって苦しかったはずなんです。 それでも彼ら彼女らが頑張れたのは、いろいろと助けてくださったボランティアの方々の存在があったから。それが後押しとなって、演奏会を成功させることができたと思っています。 ――観客の中には演奏を聴きながら涙する人もいました。 錦木:少しでも元気になってもらえたなら何よりです。でも、生徒たちもすごく力をもらったと思います。演奏会を通して、「自分たちにもできることがある」と実感したでしょうし、それは今後の生きる希望にもなるはずです。 自分の力だけではどうしようもないことが起こると、やはり諦めたくもなりますよね。でも、そんなときには今回の演奏会を思い出して、一歩前に踏み出してもらえたらいいな、と思います。 ――3年生はこれから将来への道へ進んでいきますね。 錦木:彼ら彼女らには、目指す道を諦めずに進んでいってもらいたいですね。その上で、「自分の力ではできないこと」を過剰に受け止めないでほしい。今回、ボランティアの方々と関わったことで、「できないこと」を補い合うことの大切さを知ったと思うんです。 だからこれからは、自分にできることを精一杯やりつつも、できないことは補ってくれた相手に「ありがとう。あなたがいてくれて良かった」と素直に伝えられる大人になってもらいたいと思います。