『自分だけが釣れるルアーを作らない』加藤誠司というルアーデザイナーの特異点
クランクベイトの元祖と呼ばれるビッグOがアメリカで誕生したのが1967年。その後、一大ブームを巻き起こし、ひとつのジャンルにまで昇華したバスルアーのイデア(理想形)は日本にも持ち込まれ、これまでに多くの名作が生まれてきた。そんな国内ルアービルドの第一人者・加藤誠司さんに、これからの時代に求められるクランクベイトについて話を伺った 【画像】「大変過ぎませんか…」とんでもない構造をしたクランクベイト
加藤誠司
かとう・せいじ/ダイワ精工(現グローブライド)、ラッキークラフト、ジャッカルのルアー開発を務め、TDバイブレーションやベビーシャッドなど、数多くの名作ルアーを輩出してきた。2023年からは株式会社レヴォニックを立ち上げ、日々、新しいルアーづくりへの挑戦を続けている。
釣れるクランクベイトとは
厚さ0・6ミリという極薄ボディを目指して作られたクランクベイト『ドットシックス』。加藤さんが考える釣れるクランクベイトとはどのようなものですか? 加藤「バルサではなくプラスチック製のクランクベイトとして、現代の製作技術を駆使して新しい挑戦をしたのがドットシックスです。釣れるクランクベイトというのは、色々な部分がその要素になり得るのでひと言で表すのはとても難しい。ただ、釣れるクランクベイトは手に来る感じ(振動)が違う。プロの人はみんなそういう感覚をもっていると思う。釣れる引き心地がある」 時代によって加藤さんが求めるクランクベイトは変化してきたのでしょうか。 加藤「僕がというよりは、世の中が求めているクランクベイトは時代によっていろいろと変わってきたと思う。日本だったら、最初はピーナッツ、バスハンター、ビッグオー、バグリーなどがまず流行って。アクションがワイドなものからタイトになっていったり、タイトの中でも種類が変わったり。釣れなくなると『アクションはタイトがいい』とか言ってそっち方向にいきやすい。でも、クランクベイトはあまりタイトにしても意味がないと僕は思っている。だったらミノーやシャッドでいいよね。2~3年くらいの周期で世の中のクランクベイトの好みが変わる気がする。ただ、釣り人の好みが変わるだけで、バスの好みが変わるわけではないと思うけど」