フェラーリ、完全敗北を認める。トヨタとポルシェに対し「すべてが足りなかった」/WECサンパウロ
フェラーリの耐久レースカー部門責任者であるフェルディナンド・カンニッツォは、7月14日に決勝レースが行われたWEC世界耐久選手権第5戦『サンパウロ6時間』において、競合ハイパーカーメーカーであるトヨタとポルシェに対し、フェラーリは「すべての面で不足していた」と語った。 【写真】51号車フェラーリ499P(ピエール・グイディ/カラド/ジョビナッツィ組) AFコルセがオペレートする2台のファクトリー499Pは、ブラジルのインテルラゴス・サーキットで開催されたWEC第5戦を総合5位と6位でフィニッシュした。 アレッサンドロ・ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョビナッツィのトリオがドライブした51号車は、優勝した8号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)から1分27秒遅れ、アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン組の50号車は周回遅れに終わった。 南米のレースを振り返ったカンニッツォは、フェラーリがレース前のシミュレーションから難しい戦いになると予想していたことを認めた。 3時間目の初めに発生した燃料供給のトラブルで2分以上遅れたトヨタの7号車が、終盤に51号車フェラーリに追いつき、難なくパスできたことが2台のペースの差を物語っていたとカンニッツォは語った。 「これは最初から予想していたことだ」と同氏。「レース前の分析は非常に明確だった」 「我々は自分たちが持っているパッケージを最大限に活用しようとベストを尽くそうとしたが、すべてが不足していたため限界があった。例えるなら、カバーを引っ張ったら反対側が足りなくなったようなものだ。レースを最適化するためにできることはあまりなかった」 「シミュレーションよりは速かったと思う。だが、(1周あたり)コンマ1秒か2秒の話だ。(ライバルと)1.5秒、平均で0.8秒のギャップがあれば、何か別のことが起きる」 「少なくともポルシェとは戦うことができた。彼らも我々より間違いなく速かったが、どういうわけか彼らと戦うことができたんだ」 「今日のまとめは、トヨタ(7号車)が51号車をオーバーテイクしたことだ。彼らは3分の後れを取ったが、数回のスティントで我々に追いつき追い抜いていった。ラップあたり1秒速かった」 「これが現状であり、考えるべきことだ。ふたたび競争力を発揮する機会があることを願っている」 インテルラゴスでは、トヨタがタイヤの摩耗に関してアドバンテージを持っているように見えたが、カンニッツォはGR010ハイブリッド固有のペースアドバンテージがあるため、戦略でその差を埋めることはできないと述べた。 「問題は、クルマがこれほど大きなアドバンテージを持っている場合、どのコンパウンドを使ってもマネジメントするのが簡単だということだ。我々を含め、トヨタ以外のハイパーカーメーカーは最適解を理解しようとしていた」 「私たちが正しい選択をしたとは言わないが、彼らはそもそも射程圏外だった。タイヤのコンパウンドの問題ではなかったんだ」 ■シーズン序盤とは違うトヨタの姿 2台のフェラーリ・ファクトリーカーは、レース序盤にフルコースイエロー(FCY)の違反でドライブスルーペナルティを受けた51号車がタイムを失った以外は、ほぼ順調な走りを見せた。 カラドはこのペナルティを「不運なもの」としながらも、最終的な結果には大きく影響しなかったと考えている。 「トヨタやポルシェに比べると、圧倒的にペースが足りなかった」とレースを振り返ったカラド。 「(インテルラゴスが)僕らにとって難しいトラックだということは分かっていたけれど、正直なところ、これほど大きな差がつくとは思っていなかった。ほぼ1周差だからね」 「トヨタはこの週末、別の惑星にいた。ドライブスルーで22秒をロスしたことを除けば、それが最大だった」。 カンニッツォはまた、純粋なパフォーマンスでフェラーリやポルシェに太刀打ちできなかったことが多かったシーズン序盤戦に比べ、トヨタのパフォーマンスが大幅に向上したことに驚きの声を上げた。 「私にとってはっきりしているのは、シーズン序盤のライバルたち、とくにトヨタのパフォーマンスが非常に奇妙だったということだ。なぜなら、同じトラックでより良いコンディションであっても、前年よりも遅かったためだ」 「今年のトヨタは、ル・マンの前はどのレースでもかなり苦しんでいた。それがいま、彼らの調整が突然上がってきた。我々にとっては非常にフラストレーションが溜まる状況にある」 [オートスポーツweb 2024年07月15日]