【ABC特集】ありがとうの言葉を燃料に・・・ 関西随一の豪雪地帯を走る移動販売「あったか便」に密着
琵琶湖の北に位置する滋賀県長浜市。関西ナンバーワンと言っても過言ではない豪雪地帯ですが、ここに買い物が困難な人たちを支える移動スーパーがあります。豪雪地帯ならではの移動販売に密着しました。
スーパーで売っている物と同じ鮮度を移動販売で
移動販売をしているのは、長浜市街地の国道沿いで3年前から営業しているスーパーマーケット「コープながはま店」です。開店前、普通ならスタッフたちが棚に商品を並べるところですが、逆に抜き出していく男性が1人。 (中上健二さん)「いいものを持って行かないとご迷惑かけるんで。今日新鮮なやつ入ってきてるんで、それを選びながら」
中上健二さん(62)は「コープしが」の商品を軽自動車に詰め込み、移動販売をする「あったか便」の専任スタッフなんです。週5日に分けて、長浜市の北部地域を回っています。
雪深い地区で重宝される移動販売
1月の終わりごろ、市街地はうっすらと雪が残る程度でしたが、出発から30分。一気に白銀の世界が広がります。中上さんがこの日到着したのは、長浜市内で最も雪深い地域、余呉町中河内地区です。
到着を待ちわびた地元の人たちが慣れた様子で商品を選んでいきます。あったか便は、コープながはま店に並ぶ商品をそのまま運んできているので、品質はもちろん店舗と同じ。 そして、価格も「協力金」という形で1品につき10円が加算されますが、ほぼお店と同じ買い物ができるようになっています。 (地元住民) 「便利やで。おかげさんでな」 「いつも助かってるんです。雪があって路面が凍ってるとなかなか南にいけませんので」
ここ中河内地区に住んでいるのは、現在わずか16世帯。地区内にあった最後の店が閉まったのは、もう20年も前のことだそうです。 長浜市の旧余呉町はその位置や地形の特徴から雪が降りやすい地域です。近畿より西では唯一、国の特別豪雪地帯に指定されています。中河内地区ではかつて、6m以上の積雪を記録したこともありましたが、今年は暖冬の影響もあって、雪はずいぶんと少ないようです。しかし・・・ (中河内自治会長・佐藤登士彦さん)「雪が少なくて過ごしやすくなっても、年齢を重ねると過ごしやすくなることはないですよ」 住民のほとんどが65歳以上の高齢者。バスは走っているものの、雪の多い少ないにかかわらず、出かけることが難しい人は少なくありません。週に1回来てくれる「あったか便」は貴重な買い物手段となっています。