中高年女性「ぼーっとする」「落ち込みやすい…」メンタルを回復させる休息の取り方【専門医が解説】
メンタル不調は「自律神経」から整える!#3
自律神経とメンタルの乱れの整え方を、自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生に伺う連載。第3回は「メンタルを回復させる休息の取り方」。「たっぷり眠ったはずなのにスッキリしない」「ぼーっとしてしまう」などのお悩み解消に役立つヒントをお届けします。
お話を伺ったのは、小林弘幸(こばやし・ひろゆき)先生
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。 自律神経研究の第一人者。“腸のスペシャリスト”でもあり、自律神経と腸を整えるストレッチの考案など、さまざまな形で健康な心と体のつくり方を提案している。最新著に『なんとなくだるい、疲れやすいを解消する! 自律神経について小林弘幸先生に聞いてみた』(Gakken)、ほか著書多数。
Q.睡眠不足で慢性的な疲労を感じます······
■A.「良質な睡眠を取る日」を設けよう 睡眠不足は「睡眠負債」という新語ができるほど、深刻な問題になっています。 睡眠不足で真っ先に影響を受けるのが、自律神経です。寝不足の状態が数週間続くと、自律神経が酸化ストレスの影響を受けて、高血圧や不整脈の原因になります。さらにはアルツハイマーの引き金にもなりかねません。 そうならないためにも、「よい睡眠」の確保が必要になってきます。 「今日はよく眠れた」と感じるときは、眠りの質が良好ですが、「たっぷり寝たはずなのに、まだ眠い」と感じるときは、「よい睡眠」ではないと言えるでしょう。何よりも「気持ちよく眠れた」と感じることが大切です。 基本的には「毎日7時間は寝る」「夜11時に寝て、朝6時に起きる」と目安を決めることから始めます。必ずしもその通りにはいかないと思いますが、寝るときにそう念じるだけでも、意識は変わってきます。 仕事などで忙しく、まとまった睡眠時間を確保できない人は、週に一度「睡眠の日」をつくってみましょう。その日は昼間に意識的に運動量を増やし、寝る前のメールチェックを控え、スムーズに眠れるよう心掛けましょう。
Q.ストレスがたまってイライラが収まりません
■A.リラックスさせてくれる音楽を聴きましょう 就寝前に枕元で好きな音楽を聴いていたら、いつの間にかリラックスして眠ってしまったという経験をしたことはありませんか? また、ストレスがたまってイライラしているときに、たまたまラジオなどでかかった好きな曲を耳にして、気持ちが落ち着いたという経験を持つ人も多いはずです。 音楽を聴いてリラックスするのは、副交感神経が活性化している証拠ですが、どんな音楽でも効果が上がるわけではありません。 リラックスさせてくれる音楽としては、テンポやビートが一定で、音域(音の高低の幅)が狭いものがおすすめです。 と言うと、落ち着いたクラシックや、ピアノや小編成のオーケストラで奏でるイージーリスニングを連想しがちですが、実はハードロックの方がテンポやビートが規則的なので、より効果的。 逆にジャズやクラシックなどは、テンポが変わったり、音域が意外な方向に展開したりするものもあり、必ずしもおすすめではありません。 休息したいひとときには、ぜひ音楽を取り入れてみてください。