明日沖縄で渋野ら出場の女子ゴルフツアーが有観客で開幕も次週からは再び無観客…新型コロナ対策のバラつきや矛盾に疑念の声
さらに「Tポイント×ENEOS」では「プロアマ」を実施することが決まっており、「明治安田生命レディス」も同様に「プロアマ」の開催を基本線にしている。開催基準に従えば「プロアマ」の開催は有観客がOKと同じステージ3以下が条件となっている。 あるツアー関係者は「新型コロナの感染状況がどうなっているか分からないのに、2カ月以上も前に無観客を決める。一方、大会主催者にとって大事なゲストを呼ぶプロアマはやる。判断基準なんて無視だから、プロアマの実施についての発信は積極的にしない。そこには、後ろめたいものがあると思われても仕方ない」と指摘する。 政府の指針では、人数制限はつけているが、イベント開催は認めており、プロ野球のキャンプは無観客であったが、オープン戦からは客入れを再開。Jリーグも有観客で2月26日に開幕した。他のプロスポーツ団体が、観客を入れるなか、国内に限らずゴルフ界だけが、無観客を続ける理由は、その独特の興行形態にある。 国内女子ツアーでいえば選手に配分される賞金も含めて1大会にかかる費用は最低でも3億円はくだらないといわれる。その全額を基本的にはスポンサーでもある主催者や協賛社が負担している。チケット収入が大きな財源となる他のプロスポーツのビジネススタイルとは違い、ゴルフの場合は、元々観客から“回収”することは計算に入れていない。チケッティングに頼らないので、ある意味、新型コロナ禍のような状況においても、スポンサーが開催を決断する限り、経済的ダメージの少ないビジネス形態なのである。 だが、何より優先されるのは、小林会長らが念仏のように唱える「大会主催者様のご意向」となる。 今回の「ダイキンオーキッドレディス」で客入れが実現したのも「ファンありき」を訴えるダイキン工業の熱意が背景にある。
だが、一方で、その後のツアーのスポンサーは無観客開催を決めた。感染者が出た場合のリスクや、東京五輪開催でさえ世論は8割が反対しているという社会情勢を考慮したのだろう。ツアーのテレビ中継はあり、ファンも熱い戦いを映像を通して観戦することはできる。 この判断も当然だろう。ただ、ツアーによって有観客、無観客のバラつきがあり、スポンサー都合で「プロアマ」だけは開催されるという矛盾だらけの試合では、「国内の女子ゴルフツアーは、いったい誰のものなのか?」との疑問の声が、ファンや関係者から漏れ出ても不思議ではないのである。 首都圏を除く6府県の緊急事態宣言は2月28日で解除となった。全国的に新規感染者の数は減少傾向にあるとはいえ、まだ首都圏の緊急事態宣言の解除は決定されておらず予断を許さない状況は続いている。今回の有観客開催への賛否もあるだろう。 だが、政府指針でイベント開催は認められており、JLPGAの開催ガイドラインをクリアしているのであれば、有観客、無観客、あるいは「プロアマだけOK」などのバラつきや矛盾が出るのは、おかしいのだ。無観客にすれば経費は大幅な節約となる。“プロアマさえできれば天の声のスポンサー様は満足”がJLPGA側の本音なのかもしれない。ただ、「ファンのために」という基本理念をないがしろにして様々な矛盾点が浮き彫りになる現状が続けばファンからそっぽを向かれる懸念がある。そしてプレーする選手たちの声に耳を傾ける必要があるだろう。