「ソチ五輪は全然達成感が…」元フィギュアスケート日本代表・高橋成美が語るペア“冬の時代”「ペアは不人気で集合写真から切られたり(笑)」
木原龍一とのペア結成
2013年、木原龍一とペアを組み、ソチ五輪出場を決めたが、12歳で帰国した際に経験したドン底の環境とはずいぶん異なる世界がそこにあった。 「五輪の日本代表になると、こんなにも環境が違うんだって驚きました。助成金が出たり、スポンサーさんからさらに手厚いサポートをしていただいて、海外での練習も十分な質の高さで続けることができるようになりました」 最高の環境で練習し、怪我もなく五輪を迎えた。 これまで自分に関わってくれた人に結果で恩返ししたいと思っていたが、残念ながら冒頭でも述べたとおり、ペア個人戦も団体戦もメダルに届かなかった。
“りくりゅう”みたいになりたかった
「個人戦よりも団体戦のほうが緊張しました。ゆづ君、真央ちゃん、みんな、スケート始めた頃から知っているので、仲はいいんです。でも、初めての団体戦で、なんて声をかけて応援したらいいのか分からず、お互いに気を使っていました。それに、失敗したらみんなの足を引っ張る感じになるので、けっこうピリピリ感もあって。団体戦らしく『よし、いこうぜ』みたいな感じはなく、それぞれが演技して結果を出せばいいみたいな感じでしたね」 フィギュアのシングルでは羽生が金メダルを獲得し、世界中を沸かせた。浅田は、メダルこそ獲れなかったがフリーの演技で世界を魅了した。スポットライトが当たるふたりを見て、悔しさが募った。 「ゆづ君と真央ちゃんは、ソチで輝いていました。私もペアとして同じところに立ちたいと思ったのですが、私は団体要員みたいな感じで特に期待もされず、結果も出せませんでした。ペアは本当に人気がなくて……試合前の記者会見などでも、写真撮影をする時、『ペアとアイスダンスは外に1歩ずつ離れてください』って言われるんです。何でだろうと思って、翌朝のスポーツ新聞を見たらペアとアイスダンスが切られて中央の選手だけの写真が使われていることも頻繁にありました。今は“りくりゅう”ペアが人気ですが、私もそんなふうになりたかったですね」
「未練タラタラ」の現役引退
ソチ五輪後もペアを続けたが2018年、現役を引退した。 「もう未練タラタラでやめました。ペアを解消した龍一くんペアに全日本で負けて、平昌五輪を逃したのですが、それがすごくつらかったですね。それに、スポンサーさんを始め、みなさんにサポートしていただいていたのですが、もう自分にはその価値があるとは思えなかったですし、先も見えなかったので……」 やり切った感はなかったが、結果を残せない現実を受け止めた。高橋は23年間続けてきたスケートを離れ、ひとりで違う道を歩む決心をした。<つづく>
(「フィギュアスケートPRESS」佐藤俊 = 文)
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