「ソチ五輪は全然達成感が…」元フィギュアスケート日本代表・高橋成美が語るペア“冬の時代”「ペアは不人気で集合写真から切られたり(笑)」
ペア選びの意外すぎる重要ポイント
マーヴィンは、高橋がペアを選ぶ際に重視する、とあるポイントもクリアしていた。 「ペアを組むと、結婚したぐらいの勢いで一緒に生活し、練習するので、私は相手が“無臭”かどうか必ずチェックするんです(笑)。マーヴィンはそこは問題なかったですし、ペアに賭ける覚悟も感じました。ここが私のスケート人生におけるターニングポイントになりました」 夏休みが終わっても日本に戻らず、カナダの高校に編入した。リンクから徒歩3分のところに家を借り、母親とマーヴィンと3人で共同生活をしながら練習した。スポンサーがなかったので、節約生活をしつつスケート漬けの毎日をおくった。それ自体は苦にならなかったが、改めてペアならではの難しさをいろいろと感じた。 「一番やっかいなのは、風邪ですね。一人が風邪を引いて気づかずに練習していると、パートナーにうつるんです。でも、スケートって本当に繊細で感覚的な競技なので、毎日練習しないといけないんですよ。それで風邪っぽくても休まずに続けていると、二人とも風邪を引いてコンディションを崩したり。 体重の増減も、お互いに信頼しているので逆に言えなかったりしました。パートナーが私を持ち上げようとする際にがんばっているのを見ると、私が軽くなればいいんだと思って自分で減量したりして。もともとドMな性格なので、体重を落とすのはそれほど苦にはならなかったですが、シーズン中、二人のコンディションを合わせるのがすごく難しくて、良い時は年に数回しかなかったですね」 2012年の世界選手権では総合3位になり、銅メダルを獲得した。だがその後、左肩を脱臼、右膝の膝蓋骨も痛めて、長期離脱を余儀なくされた。
ソチ五輪団体戦という千載一遇のチャンス
そんな時、2014年のソチ五輪で団体戦が設けられるという報せが届いた。シングルは羽生結弦、浅田真央がおり、ペアが揃えば団体戦の金メダルが見えてくるところだが、そのペアがまだ不在だった。そこで高橋にアプローチがあった。 「チャンスが来ちゃった、どうしようって感じでした」 外国籍の選手とは五輪には参加できないので、ソチ五輪を目指すにはマーヴィンとのコンビを解消するしかない。話し合いの末、彼は五輪を目指す高橋の気持ちを理解してくれた。高橋は申し訳ない気持ちを抱えながら、6年間ペアを組んだ戦友と別れた。
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