「ソチ五輪は全然達成感が…」元フィギュアスケート日本代表・高橋成美が語るペア“冬の時代”「ペアは不人気で集合写真から切られたり(笑)」
冬の時代だったペア
2000年代初めの日本のスケートシーンといえば、シングルで安藤美姫、浅田真央という二人の黄金期が幕を開けた頃だが、ペアは全日本選手権でも1組のみ出場というような冬の時代だった。帰国して感じたのは、日本の練習環境やペアの認知度が、中国とは比較にならないほど低レベルなことだった。 「ゼロじゃなく、マイナスでした。帰国してパートナーは見つかったんですが、全然、練習ができなくて……。リンクが少ない中、スケーターは多いので、そこにペアが入って滑ると危ないんです。だから、ひとりで一般に混じって午後4時から8時まで滑って、家に帰って寝て、予約が取れる午前3時から5時まで貸し切って滑って、そのまま学校に行っていました。もう生活がぐちゃぐちゃでお金もかかるし、めちゃくちゃ大変でした」 千葉とリンクのある横浜を往復する電車では、疲れ果て、人が降りた瞬間、競うように座席に座った。家に帰ると泥のように寝て、夜中に起きてリンクに行き、学校と家とを回るだけの毎日だった。
スケートを辞める瀬戸際で起きた奇跡
「練習環境が最悪でシングルに戻ろうかなと考えたこともあったんですが、ひとりで滑っても自分の中でなんか物足りないですし、ワクワクする感じもない。ただ、このままでは技術が進歩しないし、何のためにやっているんだろうという気持ちもあって……。練習しなきゃって、リンクに行くんですけど、リンクに入るのが怖くなって、時々サボったりしていました」 高校に入ってもペアを継続していたが、進学校ゆえ勉強も熱心にしないとついていけず、スケートを続けるべきか悩んだ。最後にペアの可能性をもう一度試したいと思い、2007年の夏休みにカナダに飛んだ。数名の新しいパートナーと組み、相性を確かめるためだったが、そこで奇跡が起こった。 「その時、最初に出会ったのが、マーヴィン・トランでした。彼はペアに関しては初心者だったんですけど、投げてほしい感じに投げてくれましたし、膝の呼吸のタイミングが私と一緒なんです。“膝の呼吸”というのは……スケートは膝の上下を使って滑るんですけど、その感覚ですかね、それが合って、本当にスケートの相性が良かったんです(笑)。趣味も『ONE PIECE』とか『NARUTO』とか、日本のアニメが好きで話が合いましたし。彼はカナダ人ですけど、世界選手権で日本代表として滑ってもいいと言ってくれたんです」
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