<ハラスメント時代の会話のコツ>雑談を面倒くさがると、脳がどんどん衰える?
人生100年時代と言われています。中高年期以降、高齢になればなるほど気がかりなのが、認知症ではないでしょうか。高齢者がもっともなりたくない病気であり、親に一番なってほしくない病気でもあります。でも、脳の中で何が起きているかは外からは見えず、認知症になるかならないかは、誰にもわかりません。 しかし、外からは見えないはずのその人の脳は、「会話」を通して見ることができます。普段からこういう会話ができていたら、この程度の認知機能が保たれているはずだ、ということがこれまでの研究で明らかになっています。会話には脳の健康度合いが反映されるのです。本連載では、脳科学の知見や最新のテクノロジー、AIの技術を集結させて考案された「脳が長持ちする会話」のコツをお伝えします。 *本記事は『脳が長持ちする会話』(大武美保子、ウェッジ)の一部を抜粋したものです。 【画像】<ハラスメント時代の会話のコツ>雑談を面倒くさがると、脳がどんどん衰える?
「推しの話」はまずい話?
出張でドイツへ行ったときのことです。チームメンバーの一人と一緒だったのですが、よくよく考えると二人きりで長時間ともにするのは初めてのことでした。オフィスで顔を合わせてはいるものの、普段は仕事の話ばかり。何気ないおしゃべりがとても新鮮に感じられました。 聞けば、彼女の日本人の知人がドイツにいるので、現地で会いたいとのこと。では別行動の時間がとれるようにスケジュールを組みましょうということになりました。ただ、「一体、ドイツに住んでいる日本人ってどんな人?」とどうしても気になります。気になることがあると、私はすぐインタビューモードに入ってしまうので、そのときも気づいたらどんな人?と尋ねていました。 すると、その日本人は牧師さんだと言うのです。ドイツには日本人向けの教会があり、日本から派遣されることがあるそうです。キリスト教の宣教師が設立した中高一貫校に通っていた私にとって、牧師さんは身近な存在でした。つい興味を持って「どんな人なんだろう? ぜひ会ってみたい」と言うと、牧師さんのほうも「牧師に興味がある人って、一体どんな人なんだろう?」と面白がってくださり、お目にかかることが叶って楽しい時間を過ごすことができました。 長距離移動中の何気ないおしゃべりの中で、私は初めて彼女がクリスチャンだと知りました。彼女も私にとってキリスト教が身近だということを初めて知ったようでした。