「またねトゥインゴ」ルノー トゥインゴへのオマージュ We miss you…
僕もイヤっていうほどそんなトゥインゴに同乗させてもらったが、驚くべきは10万キロをとっくに超えているという過走行にも関わらず、「へたり」など全く感じない耐久性と、床も抜けるほど踏んで走らされているのに不安感を一切感じさせず、粘っこく路面をつかんで離さないタフな足回りだった。例のカラフルで可愛いシートも全くへたっていないことが意外だったし、単なるファッションだけを追い求めた自動車ではないというところが、骨の髄までルノーだったことが証明していたともいえよう。
彼はどんな車を運転させても、不安なく器用に乗りこなしてしまう天性の才能を持っていたことももちろんあるが、こんな小さく、決して高価でもないカエルみたいな形の小さな自動車が、どうしてこれほどちゃんと走り曲がり止まるのだろうとショッキングなほどだったし、見かけによらぬタフさこそがルノーの本質なのだろう、と教えてくれたのがこの15万キロも走ったカエルのようなトゥインゴであった。人も荷物も満載状態で、いっぱいたのしくおしゃべりしながら東奔西走していた日々、トゥインゴが運んでくれたのはまさに輝いていた青春だったと思う。
結局初代トゥインゴは15年にわたって作り続けられ、2007年にキープコンセプトの2世代目にフルモデルチェンジされた。2世代目は7年間ほどスロベニアで生産されたのち、スマートと兄弟車である現行モデルに2014年に生まれ変わる。つまり3代目トゥインゴも早デビューからもうじき10年が経過するわけで、終売のアナウンスがなされたことは不思議でもなんでもない。実際に兄弟であるスマートは数年前に、似ても似つかないサイズとデザインのBEVモデルを、中国の会社がスマートの名前で発売するとアナウンスされて時間がかなり経過しているし、兄弟車のトゥインゴもそういう意味では乗り越えなくてはいけない問題はパワーユニットだけではなく安全デバイスなどかなり多い。 それにもかかわらずトゥインゴは、特に日本市場においてまだまだ人気車種でもあり、コンスタントに売れ続けているモデルもであった。コンパクトなサイズでRRという実用車は他にはない個性であるし、キャンバストップや洒落たボディカラーやディテールといった、ちょっと自動車好きの心のどこかに引っかかるような部分が多いが故の人気ロングセラーモデルであるといえよう。 そんなトゥインゴが生産中止となる前に(広報車がなくならないうちに)乗っておかなくては後悔すると思い、ルノージャポンにわがままを言うとイメージカラーの水色に塗られた最上級モデル、インテンスを借りることができたのは幸いであった。現行トゥインゴには発表された直後に短時間だけ乗ったことがあるが、それ以降はしばらくご無沙汰なので、うすれた記憶を呼び戻しながら乗ってみることにする。