「またねトゥインゴ」ルノー トゥインゴへのオマージュ We miss you…
初代ルノー トゥインゴが発表されてから30年。残念ながら3代目である現行トゥインゴは来春にも販売終了を予定している。初代のトゥインゴを長年愛用していた友人のことを思い出しながら、ファイナルを迎える3代目トゥインゴに、今改めて乗ってみよう。
1993年10月のパリサロンにおいて、初代ルノー トゥインゴが発表された時のことははっきりと覚えている。といっても、もちろんパリのモーターショー会場に僕が行って直接目撃したわけではなく、自動車専門誌に掲載された記事で読んだのだが、そんなレポーター記事の中でもカーグラフィック誌の1993年12月号に掲載された記事は、穴が開くほど眺めた。表紙の写真も小河原認カメラマンによる赤いトゥインゴの写真だったが、同号P201からの本文レポートにおいてもトゥインゴは堂々2ページも費やされて紹介されていた。フェラーリ456GTでさえ3分の1ページほどの紹介にすぎなかったのだから、いかにトゥインゴが重要で注目すべき新型ルノーであったかがわかろう。
その可愛いエクステリアはなんとなくホンダのトゥデイを彷彿とさせたが(トゥデイとの関連性をホンダの人から教えてもらうことになるのは、それから何十年も経った後だった)、僕が一番注目したのはその室内スペースの広さと、今まで見たことのない形状のシートと華やかなシート生地だった。 当時はまだ珍しかったセンターのデジタルメーターやピンポン玉のようなハザードスイッチも可愛かったが、エアアウトレット部分やドアハンドルなどに用いられたミントグリーンのプラスチックパーツと、それまでの自動車では考えられなかったようなキュートでおしゃれなシート生地は、まさに新しいルノーの時代がきたことを感じさせた。デザイナーであったパトリック ルケマンという名前を覚えたのもその時である。
それから数年後に出会った、僕の人生上大切な友人がトゥインゴを購入し、徹底的に使い倒すことになるとはその時は全く予想もつかなかったが、とにかくトゥインゴも彼も、出会った時から心のどこかに、ふんわりとした暖かい残像のようなもの感じる存在であったことには間違いない。 友人が初めての自分の車として手に入れた中古のトゥインゴは、イメージカラーのグリーンに塗られたモデルで、すでに多くの人に容赦なく数年間にわたって酷使されたそれは、すでに結構な距離も刻んでいた。それでも彼は本当にこの一台で南へ北へ西へ東へ、もう全開で走り回っていたし、可愛がりすぎず、でも愛用するという言葉がまさにピッタリで実に似合っていて、とにかく都会的で格好良かった。