「安さだけ」とは言わせない!“しまむら”イメージ激変の商品改革
改革は「元に戻す」「変える」~客のワクワクで復活!
「変えてはいけないものを元に戻す」と考えた鈴木が真っ先に取り組んだのは、魅力を失っていた商品の改革だった。当時のしまむらは、利益率を上げるため、ライバル店と同じように売れ筋を重視し商品数を絞っていた。これを、宝探しのできる少量多品種に戻した。 しかも、ただラインナップを増やしただけではない。 本社にやってきた女性は、新しい戦略の鍵を握るひとりyumi.さん。フォロワー数12万人のファッション系インフルエンサーだ。
しまむらが新たに始めたのは人気インフルエンサーとのコラボ。この日は合同商談会が行われた。 「インフルエンサーさんの強みは、実際にお客様と毎日のようにインスタやXでやり取りをしてお客様の声を直に聞いていること。私たちよりも聞いている人も多いので、お客様の声を商品に反映できます」(チーフバイヤー・樋口耕平) こうして作った商品は、客が分かるようにブランドのタグをつけて販売する。 しまむらが商品開発でタッグを組んだインフルエンサーは50人以上に上る。最新トレンドを取り込みつつインフルエンサーの発信力も利用する、一挙両得の戦略だ。
一方、鈴木が目を付けた「変えなければいけないこと」のひとつが折り込みチラシだ。 「紙の広告はだいたい4週間ぐらい前に企画して準備しますが、狙い通りいけば大当たりするけど、狙い通りいかなければ不発に終わる。広告宣伝費はコストがかかります」(鈴木) 折り込みチラシは、コストをかけた割に効果が上がらないことがままあると言う。代わりに作ることにしたのがデジタル広告だ。 梅雨明けが迫ったある日、広告宣伝部の高木康士朗が店舗で向かった先はハンディファンの売り場。ひとつを手に取るとスマホで撮影し始めた。 「実際にお客様が見ている視点で撮った動画は訴求ポイントも高く見てもらいやすいかなと」(高木) デジタル広告はこうしたお手軽な方法で作っている。編集もあっという間で、できた映像はしまむらの公式インスタグラムにアップ。これなら宣伝したいタイミングですぐに出せるし、コストもかからない。