「いつも水たまりができる」「乾燥するとカチカチに固まる」こんな畑の土で育てていませんか?
「いつも水たまりができる」「畑や土の中にあまり生き物がいない」「雨が降るとドロドロにぬかるむ」「乾燥するとカチカチに固まる」「毎年病害虫が多発する」...当てはまる項目はありますか? 家庭菜園で野菜を育てるときに、そもそもよい土ってどんな土なのでしょう? 有機栽培の専門家・澤登早苗さんに、よい土について詳しく教えていただきました。『やさいの時間』10・11月号より、一部を抜粋して紹介。
そもそもよい土ってどんな土?
よい土は生き物が豊富 よい土は、森の土のように多くの生き物が生息しています。落ち葉や枯れ枝などの有機物が地面に堆積し、ミミズやダンゴムシなどの土にすむ生き物がそれらを分解します。植物を食べる生き物のふんも良質な堆肥となって土を豊かにします。ここでは目に見えない微生物も土壌の健康に大きく貢献しています。 有機質資材が土を作る 腐葉土や米ぬか、堆肥などの有機質資材は、単に野菜に栄養を与えるだけでなく、土そのものを改善する働きがあります。 具体的には、物理性、化学性、生物性という、土の3つの性質を総合的によくし、結果として野菜が丈夫に育つ環境が整います。 澤登流の有機栽培では、特に「生物性」を重視し、土の中の生き物を生かす方法で野菜を育てています。
目指す土は「団粒構造」
理想的な土は、「団粒構造」と呼ばれます。これは、小さな土の粒が集まって大きな粒を形成し、それらがさらにくっついて団子のようになった構造です。この団粒構造のおかげですき間ができ、水はけがよく、適度な水分や養分を保持でき、空気が通りやすく、根が張りやすくなります。 このような土では、雨が降ってもすぐにドロドロにならず、乾いてもカチカチに固まりません。そのため、根がしっかりと張り、野菜が丈夫に育ちやすくなります。 『やさいの時間』10・11月号では、秋に植えて春に収穫するイチゴやエンドウ、タマネギなどの「冬越し野菜」を特集していますが、冬から春にかけてじっくりと育つ冬越し野菜にはじわじわと効果を発揮する有機質資材による土作りがおすすめ。 有機質資材は、肥料としての役割を果たすほか、土壌改良や微生物の活性化に役立ち、元気に野菜が育つ土を育ててくれます。澤登流の土作りに挑戦してみませんか。 教えてくれた人/澤登早苗(さわのぼり・さなえ) 恵泉女学園大学名誉教授・自由学園教諭。長年、有機農業を活かした教育実践に取り組む。ブドウなどの有機果樹農家として、生物性も大切にする有機農業の普及に励んでいる。 ●『やさいの時間』2024年10・11月号 冬越し野菜特集「有機質資材で土作り」より