「私は田舎者だったから」USスチール買収を仕掛ける日本製鉄・橋本英二会長、挑み続ける経営者の原点 小学校まで靴を履いたことがなかった
タフに自説を弁じる橋本は、トランプ好みのディール相手になる可能性もある。買収が成功すればラストベルトの雇用を増やす可能性がある一方、日本の田舎を直接には救えない。日本の田園に、橋本は何を残すのか。 「グローバルで成長し、その利益で全国の工場に投資をする、ということです。内需だけ見れば今のキャパシティの半分でも足りる。しかし成長と分配の好循環を考えるなら、日本の研究開発に投じ、脱炭素をリードする商品力を高めるしかない。それができなければ日本が潰れます」 米政府の結論は近い。日鉄も理不尽な判断なら訴訟も辞さない構えだ。橋本の気迫のなかに、トランプのいる世界に日本が生きるヒントがある。 ■第1回記事:【独占インタビュー】日本製鉄・橋本英二会長「USスチールの買収チャレンジは日鉄の社会的使命」、社内の賛否両論を押し切った決断の経緯 【プロフィール】 広野真嗣(ひろの・しんじ)/ノンフィクション作家。神戸新聞記者、猪瀬直樹事務所スタッフを経て、フリーに。2017年、『消された信仰』(小学館文庫)で小学館ノンフィクション大賞受賞。近著に『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか』(講談社)。 ※週刊ポスト2024年12月27日号
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