都知事選終わる 現職3選の厳しさと難しさ
「報道部畑中デスクの独り言」(第374回) ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は「東京都知事選挙」について―
「七夕決戦」とも言われた東京都知事選挙が終わりました。7月7日夜、ニッポン放送でもショウアップナイターを中断して開票速報をお伝えしましたが、投票締切直後の午後8時に現職の小池百合子知事の3回目の当選が確実に。開票率0%で当選確実=「ゼロ当」となりました。 今回の選挙は小池氏のほか、立憲民主党や共産党が支援する前参議院議員の蓮舫氏、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏が立候補、これに52人が加わり、史上最多の56人が都知事のイスを争う構図となりました。 選挙の主な争点は、子育て・少子化政策、災害対策と言われましたが、最大の争点はやはり、2期8年の小池都政の評価だったと思います。初当選時に掲げた「7つのゼロ」、東京五輪、新型コロナウイルス対策の対応など…結果は有権者が小池都政に「及第点」を与えたということになります。 小池氏の選挙戦略は現職の強みを最大限に生かしたものとなりました。給食センター、病院への視察、水防訓練の参加など、課題の対象となる視察を重ね、これらは「事実上の選挙運動」となりました。街頭演説は告示後最初の週末に島しょ部、多摩地方から始めました。俗に「川上作戦」と言われました。これまた課題が山積する地域を重視する戦略を取り、他候補とは、良くも悪くも「格の違い」を見せつけていたと思います。 一方、小池氏の勝利とともに注目されたのは蓮舫氏と石丸氏の2位争いでした。情勢分析で「石丸氏が蓮舫氏より上」という情報が入ります。結果は石丸氏165万8363票、蓮舫氏128万3262票、石丸氏が蓮舫氏に37万票以上の差をつけて2位に入りました。石丸氏大健闘の理由は様々考えられますが、石丸氏が1日約10か所の街頭演説に臨み、さらにSNSを中心にした緻密な戦略が大きな成果となったことが挙げられるでしょう。 対する蓮舫氏、皮肉なことに「2位じゃダメだった」ようです。目論んでいた「事実上の与野党対決」の構図は崩れ、「若者支援」で取り込みを目指した若年層も、石丸氏の支持層と被り、石丸氏の後塵を拝しました。また、蓮舫氏は立憲民主党と共産党の支援を受けました。これは来たる国政選挙を前に、両党連携の効果を測る意図もあったとみられますが、巨大な無党派層を抱える東京都の選挙構造を完全に見誤ったと言えます。自民党でさえ、かつての都知事選で推薦候補が敗北を重ねています。国政の構図を持ち込めるほど都知事選は甘くなかったということです。蓮舫氏本人は決して明言しないでしょうが、今回の選挙を次期衆議院選挙「鞍替え」に向けたステップにしたかったことは想像に難くありません。それはうまくいくのかどうか……石丸氏の後塵も拝した今回の結果で、戦略の練り直しが迫られることになるでしょう。