city不city、水霊霊的、班味、銀発力量…「2024流行語ベストテン」が解き明かした現代中国
1. 数智化 (シュージーファ)
「数字化」+「智能化」である。すなわち、「数字化」はデジタル化、「智能化」はAI(人工知能)を駆使したビッグデータの適切かつ効率的な処理を指す。上は中国共産党の幹部から、下は街の小売店のオッチャンまで、皆が「数智化こそが大事だ」と口にした2024年だった。
2. 智能向善 (ジーナンシアンシャン)
英語に直すと、「AI for good」。日進月歩で進化していくAIを、人類のためによりよく発展させていこうということだ。中国のIT業界はもとより、習近平主席も、最近の国際会議や首脳会談で、この言葉を使い始めている。 中国でAIの発展は、昨年8月15日に「生成式人工知能サービス管理暫定施行弁法」を施行したところで、転換点を迎えた。第4条「AIの提供と使用」で、「社会主義の核心的価値観を堅持する」ことを義務づけたからだ。 「向善」(善きことに向かう)とは、「共産党政権にとって善きこと」なのかもしれない。実際、西側諸国の「ChatGPT」に相当するバイトダンス(字節跳動)の「豆包」(ドウバオ)で、習近平政権の意向に反するような質問をすると、無難に答えるか、「分からない」「ノーコメント」、もしくは無言になったりもする。その分、もしかしたら「ChatGPT」よりも賢い?
3. 未来産業 (ウェイライチャンイエ)
これは日本語と同意である。今年3月5日、全国人民代表大会(年に一度3月に開かれる国会)の初日に、李強首相が「政府活動報告」で、「新興産業と未来産業を積極的に育てていく」と述べて以降、各所で使われるようになった。 中国政府内部では、今年1月に「未来製造」(ナノテクノロジーなど)、「未来情報」(量子情報など)、「未来材料」(先端半導体材料など)、「未来エネルギー」(新型原発など)、「未来空間」(空飛ぶクルマや火星探索など)、「未来健康」(ゲノム医療など)という6分野の未来産業の方向性を打ち出している。いずれにしても、今後アメリカとの激しい覇権競争が見込まれる。
4. city不city (シティブシティ)
ここからは一般市民用語である。この語はもともと、アメリカ人のインフルエンサー「PAUL」が、自身の動画サイトで、中国旅行の愉快な様子をアップした時に使ったセリフだった。 中国ではこの頃、世の不景気と政府の奨励策により、中国国内の旅行が流行している。そんな時に、SNSやネット上で、友人知人や、時に見知らぬ人に問いかけるのが、このセリフだ。 「city」とは「都市化されている」の意。「長城city不city?」(万里の長城って都市化されている、されていない?)などと聞く。すると誰かが、「入口には『星巴克』(スタバ)もあってcityだよ」と答える。