city不city、水霊霊的、班味、銀発力量…「2024流行語ベストテン」が解き明かした現代中国
2024年中国語版流行語&隠語
私は言葉を紡(つむ)ぐことを生業(なりわい)にしている者として、毎年年末に発表される流行語大賞を楽しみにしている。 【写真】衝撃! 中国ではなぜ、「配達ドライバー」が続々と死んでいるのか 今年も12月2日に発表され、周知のように「ふてほど」が年間大賞に選ばれた。昭和から令和の時代にタイムスリップした主人公が価値観の違いに戸惑いながらも奮闘する姿をコミカルに描いたテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系列)を略した言葉だ。「1986年から2024年へタイムスリップした阿部サダヲさん演じる主人公が、価値観の違いに戸惑いながらも奮闘する姿をコミカルに描き、コンプライアンスに縛られがちな現代を風刺して話題になった」と評された。 ちなみに、2024年流行語ベストテンは、以下の通りだった。「ふてほど」(年間大賞)「裏金問題」「界隈」「初老ジャパン」「新紙幣」「50-50」「Bling-Bang-Bang-Born」「ホワイト案件」「名言が残せなかった」「もうええでしょう」。 私は、発表を見ていて、思わず赤面してしまった。選ばれたベストテンのうち、年間大賞に輝いた「ふてほど」を始め、4つも知らなかったのだ。特に、年間大賞の言葉を知らなかったのは、過去10年で初めてだった。 もはや文筆家として落第だが、弁明を許していただけるなら、私は「中国ウォッチャー」なのである。中国語の流行語には職業柄、敏感で、2年前には「中国語の新語・流行語・隠語で読み解く現代中国」と帯に銘打った『ふしぎな中国』(講談社現代新書)を上梓した。そこでは、計34語の「いまを読み解く中国語」を解説している。 そこで今週は、「2024年中国語版流行語&隠語」について紹介したい。 日本で流行語大賞が発表された12月2日、上海世紀出版集団が発刊する言語学雑誌『咬文嚼字』も、恒例の「2024年流行語ベストテン」を発表した。これは、いわば中国政府公認の「表版流行語」で、以下の通りだ。 「数智化」「智能向善」「未来産業」「city不city」「硬控」「水霊霊地」「班味」「松弛感」「銀発力量」「小孩哥/小孩姐」。 一文字ずつの漢字の意味は分かっても、何のこっちゃ? ではないだろうか。以下、一語ずつ説明しよう。