都知事選で15万票以上を獲得し5位になった注目のAIエンジニア・安野貴博が語る「デジタル民主主義」の真実
東京都知事選で主要4候補には及ばなかったものの、日に日に存在感を高めているAIエンジニアの安野貴博氏。彼の掲げる「デジタル民主主義」「政治のアップデート」とはなんなのか? とにかく、わかりやすく解説してもらった! 【写真】「AIあんの」の仕組みについて説明する安野氏 * * * ■長髪にしている理由は物理的な問題のため? 東京都知事選で〝主要4候補〟に続く5位と大健闘。もしテレビや新聞などのマスメディアで主要候補として取り上げられていたら、もっと上位に食い込んでいたかもしれないといわれているのが、AIエンジニアの安野貴博氏だ。 ――安野さんはAIエンジニアのほかにSF作家という肩書も持っていますよね。作家ってアナログ的なイメージがあって、両極端な気がするんですが? 安野 両極端に見えますが、自分としてはやっていることは同じで、どちらも「テクノロジーを使って未来がどうなるかを考える仕事」です。 AIエンジニアは、AIなどで新しい技術を作って「この技術があると将来、便利になりますよ」と伝える職業です。SF作家は「その新しい技術ができたことで生まれる問題をどう考えるか」「今はまだできていないけれど、将来的にできる技術についてどう考えるか」を提案する職業です。 ――じゃあ、安野さんの中では同じ仕事なんですね。ちなみに、都知事選のときの応援演説で奥さんが「安野貴博から他人の悪口を聞いたことがない」と言っていましたし、都知事選でも人の批判をしませんでしたが、それは安野さんのポリシーなんですか? 安野 私は人の悪いところにはあまり興味がなくて、技術や仕組みのほうに興味があるからなのかもしれません(笑)。 都知事選の話でいえば、候補者の方々が、あまりにも相手の揚げ足を取ることに終始していることに違和感があったんです。そうじゃなくて、しっかりと政策の中身を議論したほうが都民のためになると思ったんです。 それに、その政策の議論の中でも、相手の言うことが正しかったら「ああ、そうですね」って直したほうがいいじゃないですか。そういう建設的な議論をしたいと思ったからです。 ――普段の生活でも、あまり人の悪口は言わないんですか? 安野 そうですね。私はスタートアップ(起業)をやってきたんですけど、スタートアップって常に人手が足りないんです。少ない人数で大きなことをやらなければいけない状況がずっと続いていく中で、人の悪口を言ったり、揚げ足を取っていたら、組織ごと潰れちゃいます。 だから議論をするにしても、その人に対する批判ではなく、内容に関しての問題点を明確にする。そういう生活が長かったので、そうなったのかもしれません。 ――ちなみに、なんでポニーテールなんですか? 安野 やっぱり、人生で一度は長髪にしなきゃいけないと思っていまして、そうすると次に「じゃあ、いつやるのか?」という問題になります。20代だとリスクを取りすぎているし、40代以降になると頭髪の物理的な問題(薄毛)が出てくる可能性があります。そうすると、30代しかないので、30代で長髪にしました。