第一生命「孫休暇」最長9日連続、約1500人が取得 国内で初めて導入したきっかけは
孫のために休暇を取れる制度が企業や自治体で広がっている。管理職世代の育児への理解が深まり、若い世代の育休取得率が上がるなどの好循環が生まれている。AERA 2024年11月25日号より。 【図表を見る】『「孫休暇」を設ける企業と自治体の一例』はこちら * * * 「孫休暇」を設ける企業や自治体が増えている。 国内で初めて孫休暇を導入したのは、2006年に始めた第一生命と言われる。同社人事部によると、きっかけは家族を思う社員の声だった。 「孫の誕生を家族全員で祝いたい」「出産直後の子どもの負担を軽減してあげたい」 同社の「孫誕生休暇」は、孫の誕生に合わせて3日間。2日間の公休、土日も合わせて最長9日連続で取得する社員も多いという。23年度は約1500人が取得した。 同社公法人部顧問で東京都在住の額賀ゆき子さん(61)は、さいたま市で暮らす30代の長女の出産に合わせて昨年9月に孫休暇を取った。 「昔、自分が里帰り出産をして母親のありがたみが身に染みていたので、自分も娘のために頑張りたいと思っていました」 40年近く仕事をしてきて、娘にはずいぶん寂しい思いもさせてきた、という思いもあった。 退院して実家に戻った長女と孫のため、額賀さんは孫休暇と夏季休暇を取り、さらにテレワーク勤務も併用しながら、約半月、自宅にいることができた。 「会うだけなら週末でもできますが、子育てのサポートとなるとじっくり腰を据えて取り組む必要があります」 額賀さんの夫は単身赴任中で、長女の夫は埼玉の自宅で生活をしていたので、長女や孫の世話は額賀さん一人が担った。 孫休暇2日目、不測の事態が起きた。長女がコロナに感染していることがわかったのだ。その日から3時間おきの授乳以外は、額賀さんの仕事になった。孫のゲップ出し、おむつ替え、着替え、寝かしつけ、沐浴、膨大な洗濯、そして娘の看病、ご飯作り、掃除、片付けなどすべてを一人で引き受けた。孫を夜通し抱っこして、一睡もできない日が続いた。 「孫休暇という画期的な制度を利用して、図らずも娘のコロナ感染を乗り越えて、新生児を無事に育てることができました。大ピンチを乗り越えられたのは本当に幸せだったと思います」