スポーツもツーリングもイケるミドル3気筒! トライアンフ「デイトナ660」に丸山浩が試乗
セッティングは柔らかめでありながら、コーナリング中にギャップを踏んでもストトトトッと何事もなかったかのように通過。ブレーキもなかなかに強力かつコントローラブルだ。それにニーホールド部分に加えてタンク形状が実にいいので、お腹の膨らみが心配になってきたオジサンたちでも前傾姿勢でしっかりと身体をタンクに押し当てながらコーナリングするスポーティーフォームをキメやすい。 クイックシフターは残念ながら付いていなかったが、こちらは上下対応のものがオプションで装着可能。無くてもマニュアル操作によるシフトダウンでエンブレを効かせながらコーナーに飛び込むといったスポーツライディングの醍醐味を存分かつ手軽に味わうことができた。 デイトナ660は、レーシングマシンを彷彿とさせるスポーツバイクとしての素性をしっかり持ちながら普段使いやツーリングにも応えてくれるオールラウンダーへ見事に生まれ変わったというのが私の結論だ。フルカウルのカッコ良さに憧れてバイクに乗ることを決めたという人にピッタリのバイクではないだろうか。 最近流行りのミドルスポーツ界において、このデイトナ660と最も近いのはホンダのCBR650R。この2車は馬力的にも価格的にも丸かぶりだ。違いは3気筒か4気筒か。4気筒のCBRの方が上の伸び切り感で勝るようにも思えるが、デイトナもドライコンディションでの実力をまだ解放してはいない。このあたり、ヤマハYZF-R7や排気量がワンクラス上になるスズキGSX-8Rら2気筒勢も交え、いずれキッチリと決着を付けてみたいと思う。 ──【「3気筒」をシャブリつくしたいなら文句なしにコレだ!】トルク感・盛り上がり感・伸び切り感と3気筒ならではの3拍子を心ゆくまで楽しみたいなら、フルカウルスポーツであるこのスタイルが最もオススメ。レーシングバイクの息吹を感じながら街中やツーリング、そしてワイディングとオールラウンドで活躍してくれるぞ。1000ccを越えてくるとパワーが多すぎて高回転域では持て余してしまうことを考えると、ミドルのこっちの方が面白いんじゃないかな。 ──ミシュランの最新スポーツタイヤであるPOWER6をいち早く採用。トレッドパターンはご覧のとおりエッジ部分まで達しておらず、なかなか攻撃的だが、トラコンが効いてウェットでも予想以上のグリップを発揮してくれた。タイヤ単体でも旧モデルのPOWER5よりドライ・ウェットともにグリップ性能は10%向上していると言う。