スポーツもツーリングもイケるミドル3気筒! トライアンフ「デイトナ660」に丸山浩が試乗
さて、せっかく試乗会場には箱根ターンパイクを用意してくれたのに当日はあいにくの雨。しかし結果から述べると、その雨がかえってデイトナ660の良い部分を浮き彫りにしてくれたのかもしれない。雨の中で乗ってもこんなに楽しいスーパースポーツには、なかなかお目にかかれない。 「SPORT」「ROAD」「RAIN」とあるライディングモードのうち、雨でもあえて「SPORT」でスタート。低中回転では程よい鼓動感とトルク感で扱いやすいエンジンは95psに抑えているとはいえ、やはり回転を上げていくと8000rpmあたりからドガッと3気筒の利点である2ストローク二段ロケット感覚もしっかり味合わせてくれる。 装着タイヤのミシュラン・POWER6は雨の峠を走るには少々勇気がいる攻撃的なトレッドパターンだが、トラコンがバッチリ効いてくれるおかげでグリップを失う兆候はない。雨の中でも驚くほどスロットルを開けていけるのだ。 ──【雨でもスロットルを開けられる!】写真では分からないと思うが、YoutubeのモーターステーションTVでは走りを動画に収めているので、雨の中でも結構いいペースで楽しんでいたことをぜひとも確認してもらいたい。
トルク感・盛り上がり感・伸び切り感! 3気筒の楽しみをキッチリ味わえる
雨の箱根でデイトナ660は実に気持ちよく走ってくれる。そして、とにかく乗りやすい。本領を発揮する8000rpmからの駆け上がり感に加えて1万2000rpm弱くらいまでちゃんと上の方までの伸び切り感を持っているんだけど、100ps以下で走らせているのでリッター超えのようにすごいパンチ力を持て余してしまうようなこともない。 それに中間の5~6000rpmで走っていても、それに至る低回転域からのドロドロドロっとした味わいあるトルク感が高回転域に負けず楽しい。ただ高回転域については雨のため8000rpmを超えたころからドラコンが効きっぱなしになり、「SPORT」「ROAD」「RAIN」のどのモードでも同じような雰囲気になっていた。これがパワーをスポイルされないドライコンディション下のSPORTモードだと評価はもっと変わってくるかもしれない。 いずれにせよ、雨の中でもトルク感・盛り上がり感・伸びきり感という3気筒の3つの良いところを持っていることはしっかりと確認。それだけでも十分に意味はあった。 また、エンジンに加えてデイトナ660は車体も優秀。ハンドリングが気持ちいい。SHOWA製の前後サスペンションはアジャスター機構こそリヤプリロードのみではあるものの、フロントにSFF-BP倒立フォークを採用しているなど豪華で、路面追従性が実に素晴らしい。 ──【スポーツの醍醐味を存分にゲット】バチっと伏せてコーナーを攻めてもタンクにお腹や膝を当てやすく、理想的なフォームを取りやすい。サスセッティングはドライだともっと固めたくなるかもしれないがノーマルでも路面追従性は優秀で、飛ばさなくてもスポーツライディングが存分に楽しめる。