小学生の暴力行為、10年前の6.4倍にまで増えたのはなぜ? 「暴力的な子が増えたと考えるのは危険」と専門家
――暴力やいじめが表ざたになると、どうしても学校や教師を攻め立てる風潮になりがちです。 学校がさまざまな子どもの問題を解決してくれるはずだと、みんなが学校に期待する「学校依存社会」が背景にあると考えます。警察、法律家、裁判所、カウンセラーなどさまざまな業務を、学校の教員が一手に引き受けています。学校依存社会から脱しない限り、問題は学校内にとどまり、結果的に校内のみんなが被害者になってしまいます。 長時間労働、また、心身の負荷が高いだけだと教員の範疇の問題ですが、これが行く行くは教員の成り手不足を招く。そして、教員が教壇にいなくなり、不利益が子どもに生じるということは、保護者の方々にも理解していただきたいと思います。 (聞き手/永野原梨香) 〇内田良(うちだ・りょう)/名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授。学校の中で子どもや教師が出合うさまざまなリスクについて、調査研究や啓発活動を行う。著書に『学校ハラスメント』(朝日新書)、『教育という病』(光文社新書)、『教師のブラック残業』(学陽書房、共編著) ほか。 参考資料: 令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果 本体資料 (文部科学省)https://www.mext.go.jp/content/20241031-mxt_jidou02-100002753_1_2.pdf
永野原梨香