東京の医療体制が“赤色”に 専門家が口にした「ほぼ確定的な未来」
東京の医療体制に何が起こる?
猪口氏は「医療提供体制は、新規の患者が発生するとほぼ確実に未来が確定する。ひっ迫してくることは今日時点で明らかになってくる」と述べ、今後のさらなる入院患者、重症者の増加に備え、都として重症用250床、中等症等用3750床の計4000床の病床確保を都内の医療機関に要請したと明らかにした。 これは(1)重症患者数は新規陽性者数の増加から少し遅れて増加してくる(2)重症患者はICU (集中治療室)などの病床の占有期間が長期化する――といったことを念頭にした措置で、「確定的な未来に対して準備を行った」という。 「ほぼ確定的な未来」について真意を問われると、猪口氏はこう説明した。 「新規の患者が100人出ると1%の確率で重症になる。そして4、5日後に重症化する。新規の患者が増えるとしばらく遅れた形で重症の患者が出てくる。将来提供しなくてはいけない医療体制が決まってくる。それが『ほぼ確定的な未来』だ」 今週の新規陽性者数の増加比は約121%だったが、仮にこの数値が2週間続くと新規陽性者は約1.4倍の約751人になる。約1%が重症化するとすれば2週間後の12月31日の重症患者数は約104人となり、「医療提供体制の深刻な機能不全が危惧される」(猪口氏)。 重症者用の診療体制を確保するためには、通常医療の病床とそれに携わる医師、看護師らを転用する必要があり、医療機関は予定手術などを制限せざるを得なくなるという。 大曲氏も、さらなる感染拡大が医療現場に与える影響をこう懸念した。 「都内各地で多くの病院、高齢者施設でクラスターが起こっている。こうした施設などでクラスターが起こり始めると、医療体制には非常に大きな影響がある。院内感染が起こった病院の医療体制は著しく低下する。具体的には、救命救急センターで院内感染が起こると救急患者の受け入れができなくなる」
「やることはやっているとの声も聞く」が……
「その事態を回避するのは、感染者が少なくなること。それしか方法がない」 猪口氏は医療が危機的な状況に追い込まれることを避けるには、新規の陽性者を減らすしかないと都民に協力を求めた。 都民をはじめ、国民には個人でし得る感染防止対策は十分に行っていると考える人もいる。大曲氏も「やることはやっているという声もすごく聞く」と認めたが、「いまは違う。通常ではない」と強調した。 「日常生活の中でも(感染し得る)と何回も申し上げたが、通常であれば、ちゃんと対策をしていれば、そこそこ安全だった。(忘年会や新年会に)無自覚で陽性の方がいらっしゃることがいまは起こりうるし、そのリスクが高い状況。だからこそ(リスクの高い行動を)今は避けなければならないということを強くお願いしたい」 具体的には、長時間・深夜にわたる飲酒、複数店にまたがって飲酒や飲食を行う「はしご」酒などを挙げ、「こうした場は酒が入ると大きな声で会話することが起こる」。また、マスク着用など感染対策をしないままでの長時間の会食や、密集して大声の発生を伴うイベントやパーティなども感染リスクを高めると警告した。