<ボクシング>山中のV10戦は亀田を困らせた暴れん坊!
ボクシングのWBC世界バンタム級王者、山中慎介(33歳、帝拳)と、WBC世界Sフライ級王者、木村悠(32歳、帝拳)のダブル防衛戦が3月4日、京都の島津アリーナ京都で行われることが19日、東京九段下のグランドパレスで発表された。10度目の防衛戦となる山中の相手は、2年前に物議を呼んだ亀田大毅とのIBF、WBA世界Sフライ級統一戦で減量に失敗して、試合には勝ったもののWBAタイトルを剥奪されたリボリオ・ソリス(33歳、ベネズエラ)。話題性抜群の挑戦者に、山中は「力の差を見せつけスッキリKOで勝つ」と宣言した。また木村の初防衛戦相手も、同級6位で、26勝(17KO)6敗の高いKO率を誇るガニガン・ロペス(34歳、メキシコ)に決まった。
ボクシングファンからすれば、あのソリスである。いや、ソリスとの統一戦がきっかけとなり、引退してグローブを吊るすことになった亀田大毅にしてみれば、もっと複雑な心境だろう。 2013年12月に行われたIBF世界Sフライ級王者、亀田大毅との統一戦に臨んだWBA同級王者のソリスは、前日計量に失敗。再計量に挑まず、開き直って水やコーラをがぶ飲み、暴言を吐き続けた。即、タイトルを剥奪されたが試合には圧勝して、いわゆる“負けても防衛問題”で、亀田サイドはライセンスの更新を許されず、事実上、日本のリングから追放された。ソリスは、亀田戦以降は階級をひとつ上げて7戦全勝中。昨年12月17日には、WBAカリブ地域のバンタム級タイトルを獲得している。 「クレージーな印象が強い。まだ2年前だし記憶に新しいですよね。不安はあるけれど、今度はルールを守って来日して欲しい。ひとつ階級を上げるから計量は調整してくると思うけれど、(計量直後にすぐ水などを)一気飲みしないように、皆さんも見張っていて欲しい」と、山中もなにをしでかしてくるかわからぬいわくつきの挑戦者に警戒心を強めている。 ソリスはその荒っぽい性格同様、フックやアッパーなど至近距離からの一発一発のブローに力をこめ、超攻撃的な側面を持っているボクサーで、2013年5月には、現WBA世界Sフライ級王者の河野公平(ワタナベ)を判定で破っている。17戦23勝(10KO)3敗1分の戦績だが、「その数字以上にパンチは硬いのかも。荒っぽさがある」と山中は見ている。だが一方、受けに回る時間があって波も激しい。 「ソリスのアッパーに対して、左ストレートのタイミングが合うようにも思える。やり辛くはない。自分で言うのはあれですが、ここ数試合判定が多いので、神の左でスッキリと倒したい」。山中にもKO決着のイメージはできあがっている。 V10戦の戦う理由は、もうひとつある。 試合のある3月4日は、妻、沙也乃さんの誕生日で「これまでたいした誕生日プレゼントはできなかったので、勝利という最高の誕生日プレゼントを渡すことを約束した。この前、八重樫選手が、試合後にリングで奥さんに誕生日おめでとうとやっちゃったので、かぶらないように試合前に言っておきました」と語って、記者会見をなごませた。 「先の大きな目標は封印して、圧倒的な形でリオスに勝つ」 山中が言う大きな目標とは、夢のラスベガスのリングだが、まずは亀田大毅を困らせた暴れん坊を始末するのが先だ。すでに沖縄キャンプを終え万全な準備がスタートしている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)