万が一アクシデントが起きたら!? 「本当にあった」に学ぶ、登山のリスクヘッジ【vol.08 救助要請編】
どこにいるのか説明できないときは?
近くに道標やルート番号、顕著な目標物などがなく、自分がいる位置を正確に伝えることができない場合は、スマートフォンで位置情報を確認します。 登山アプリを使っているなら、現在地の緯度経度を表示する機能があります。たとえば、YAMAPなら、活動中の画面で、黒い帯の部分を上にスライドさせると、小さい文字ですが、緯度経度が表示されます。ヤマレコなら、地図の左下に常時表示されています。 登山アプリがない場合は、スマートフォンに標準装備されている地図アプリ(グーグルマップなど)を開いて、現在地をタップすると、緯度経度が数値で表示されます。いずれにしても、通報する前にメモしておくといいでしょう(通常、覚えられる数字ではありません)。
救助を待つ間にやるべきこと・やらない方がいいこと
場所によりますが、救助隊はすぐにアクセスできるとは限りません。自治体によってはヘリが来てくれる場合もありますが、有視界飛行が原則なので、天候のいい昼間しか飛べません。 地上隊による救助の場合は、最寄りの車道から駆けつけることになりますので、長時間待たなければならない可能性もあります。そのような場合、収容されるまでの間に、症状を悪化させないことが重要です。 ケガをしているなら、出血があれば止血処置を。骨折が疑われるような場合は固定して、患部が動かないようにすると痛みが多少はましになります。 できるだけ安定した場所で楽な体勢を取り、雨や風が当たらないように工夫しましょう。出血が多いケガだと、失血のために体温保持ができなくなる場合があります。健常者が寒さを感じないレベルの気温でも、けが人や病気の人は、防寒対策が必要な場合があるのです。 さて、やってはいけないこともあります。 それは、通報に使った携帯電話の無駄な使用です。 「たいへんなことになった!」と、家族や友人に状況をいち早く伝えたい気持ちはわかるのですが、消防から折り返しの電話がかかってくる可能性があるので、通報に使った携帯電話は、なるべく使用しないこと。 また、バッテリーを無駄に消耗させないことも重要で、通話も通信もなるべく避けた方がよいです。 とくに、SNSへのカキコミなど、その時に必要ないことは、やめておいた方がいいと思います。気が動転していて、不適切な投稿をしてしまう可能性もないとは限りません。事故発生時の携帯電話は、あなたを守ってくれる大切な命綱です。大切に扱いましょう。
根岸真理