【ロゴだけじゃなかった!?】初代グランドセイコーの仕様違い
いまや海外からも多くの注目を集める国産アンティークの花形、グランドセイコー。 時計後発国であった日本で、セイコーが“スイス製時計の精度に負けない日本製時計を生み出す”という目標を掲げて、部品、組み立て、調整のすべてに最高レベルの技術を導入し、1960年に発表したモデルだ。 時計の本質を追求したグランドセイコーでは、とりわけ精度へのこだわりは徹底しており、当時のスイスクロノメーター規格と同等の厳しい社内規格を設けて、規格をパスした個体のみが販売されていた。 ちなみに初代グランドセイコーは、金張りケースで2万5000円という価格で販売されている。これは当時の大卒男子の初任給が1万円ほどだったこと、またグランドセイコー以前の最高機種でも価格が1万2000円程度であったことを踏まえると、国産時計としてはかなり高額なものだった。 【実は仕様が存在。裏ブタの“メダリオン”をアップで見る】
さて、そんな初代グランドセイコーでは、いくつかの仕様違いが確認されている。 有名なのは文字盤のロゴの造形で、“プリント”“彫り”“浮出”と大きく3種類がある。特に“プリント”は最初期の個体にのみ見られる希少ディテールだ。 このロゴの仕様違いは比較的わかりやすいものだが、熱心な研究家や愛好家たちは、知識のない人が一見しただけは到底わからないような細かな仕様違いもいくつか発見している。そのひとつが裏ブタにあしらわれた“メダリオン”だ。
この二つの時計の獅子のマークを見比べていただきたい。 上の個体のほうが、獅子の顔やタテガミがくっきりと刻印されているように見えないだろうか。 こうして二つ並べて見ないと気がつけないレベルだが、異なっていることは認識していただけるだろう。上の個体が前期、下が後期に分類されている。ちなみに、これ以外にもケースでも前・中・後期と仕様違いがある。 こうした仕様違いは、かつてのロレックスの時計でもよく見られた。製造管理が向上した現代の時計では見られないだけに、アンティーク時計ならではの楽しみと言えるだろう。
文◎Watch LIFE NEWS編集部