可愛がってくれた85歳孤独な伯母の死後、保険金1,000万円をもらうはずが…引き出しに捻じ込まれた「古びた保険証券」が知らせる、あまりに残酷な事実【CFPが解説】
伯母が加入していたバブル時代の「保険」
伯母の書棚の整理をしていたBさんはあることに気が付きます。書類の束からでてきた古びた一通の保険証券、「一時払い変額終身保険」と記載されていました。バブル経済の時代に資産運用になるからと急速に広まった保険のひとつですが、バブル経済の崩壊とともに資産形成機能は失われており資産価値はほとんど失われていました。一方で、死亡保障の機能だけはしっかりとしたものがあり、その額はなんと1,000万円。 生前、伯母が「昔夫の付き合いの関係で保険に入ったと思うけれど、大損が確定した保険だから。もうどうでもいいのよ」と話していたことをBさんはなんとなく思い出しました。このことだったのかとピンときました。 昔、ご主人のもとにやってきた投資話の一環で、Aさんが加入したという脈絡は伺い知ることができましたが、バブル経済の崩壊とともに放置されてしまっていたのです。生命保険証券に記された保険金受取人の名前を見るとすでに亡くなっているAさんのご主人のままとなっていました。 もうすぐ子どもが独立するものの、住宅ローンで家計が圧迫されるなか、それほど預貯金の相続もできなかったBさんにとって、この保険金1,000万円はとても大きな遺産です。唯一の相続人である自分が当然に受け取れるものと思っていました。しかし、保険会社に連絡をして驚愕します。Bさんに受け取る権利はないというのです。 Bさんが保険金を受け取れない理由 保険金の請求手続きができるのは、すでに亡くなったAさんのご主人の相続人であると知らされたBさん。 Aさんには子どもがいませんでしたから、Aさんのご主人の相続人はAさんの兄弟姉妹になります。Bさんからすると会ったこともないうえに、ご主人が家を出て行ってからというもの、ご主人の兄弟姉妹と伯母Aさんとの関わりはまったくありません。 Bさんはずっと仲良くしてきた伯母Aさんに「あんなに仲良くしてきたのに、ずっと支えあってきたのに、老後の面倒も看たのに……伯母さん、どうして?」と恨み節がこぼれてしまい、悲しい気持ちを抱えてその後を過ごすことになってしまったのです。