米国との接戦を乗り越えたカーリング日本代表は準決勝進出を果たせるのか…“最強”スイスに勝利で決定も敗れた場合は?
最終的には藤澤のショットが脚光を浴びる。しかし、成功に至るまでのリード吉田夕梨花(28)、セカンド鈴木夕湖(30)による力強いスイープと、場内に響く知那美の正確なコールも見逃せない。小さな体をフル稼働させ続ける夕梨花とのスイープぶりが、いつしか外国勢から「クレイジー・スイーパーズ」と命名された鈴木も胸を張った。 「今日はスイープがすごく効いたアイスだったので、そこに合わせてしっかりとさっちゃん(藤澤)が投げてくれて、ちな(知那美)がコールしてくれた。昨日よりもコミュニケーションが取れてそこが噛み合ったのが、すごくよかったと思っています」 完璧な手応えがあったからこそ、同点とされても動じなかった。 迎えた第8エンド。日本は鈴木と知那美がまずガードストーンを置く。アメリカがダブルテークアウトできない状況をしっかりと作り出し、No.2ストーンを確保した状況で、藤澤の最終投は計算通りにアメリカのNo.1ストーンを弾き出した。 有利な後攻で再び2点をリードし、さらに先攻の第9エンドでもスチールで1点を追加。最終第10エンドで藤澤が1投目でダブルテークアウトを決め、同点に追いつく可能性が消滅した直後に、アメリカがコンシードを宣言して負けを認めた。 14日の韓国戦で4連勝を止められ、前日のイギリス戦でも大敗。漂いかけた嫌な雰囲気をチームが一丸となって吹き飛ばした快勝に、知那美が再び声を弾ませた。 「心のアドバンテージを使って、落ち着いて次の(第8)エンドをプレーできたのは、このチームで8年間しっかりと積み上げてきたものなのかなと思っています」 1次リーグの通算成績を5勝3敗とした同じ時間帯の一戦で、カナダが延長戦の末に9-11で中国に敗れた。試合開始前の時点で4勝3敗同士だった、世界ランキング5位でソチ五輪金メダルのカナダが敗れたことで日本は単独3位に浮上した。 17日の1次リーグ最終戦で勝利すれば日本は6勝3敗となり、無条件で決勝トーナメント進出が決まる。そして、歴史は繰り返されるというべきか。前回の平昌五輪とまったく同じ形で、5勝3敗で迎える最終戦でロコ・ソラーレはスイスと対峙する。 4年前はスイスの1次リーグ敗退が決まっていた状況で対戦した。翻って今大会のスイスは2019年と2021年の世界選手権を連覇し、世界ランキング2位に名を連ねる金メダル候補国として、7勝1敗ですでに決勝トーナメント進出を決めている。 14ヵ国が参加した1次リーグを12勝1敗で突破し、準決勝でアメリカを、決勝ではRCF(ロシアカーリング連盟)を破った昨年5月の世界選手権では、リード、セカンド、サード、スキップの全部門でスイスの選手がショット成功率トップを独占。まったく同じメンバーで、女子初の金メダルへ照準を定めて北京へ乗り込んでいる。 2度の世界選手権は日本代表として中部電力と北海道銀行がそれぞれ出場したため、スイスとの直接比較はできない。試合自体は第9エンドを終えた時点で日本がコンシードを宣言。4-8で敗れたものの、アメリカがスウェーデンに敗れたために準決勝へ進出。韓国には延長戦の末に敗れたが、3位決定戦でイギリスを下して歓喜の銅メダルを獲得した。