ワリエワのドーピング新事実判明に海外メディアは疑念…「3種類の薬物“カクテル”はロシアの組織的関与を示しているのかも」の専門家意見も
世界が注目の北京五輪フィギュアスケートの女子シングルFSが今日17日夜に行われる。ドーピング違反問題で揺れるカミラ・ワリエワ(15、ROC)はSP首位。金メダルの最有力候補としてフリーを迎えるが、新たに「L-カルニチン」、「ハイポキセン」という2種類の心臓治療に使われる薬物(禁止されていないもの)が検出され、スポーツ仲裁裁判所(CAS)への提出書類にも記載されていたという新事実発覚を受け、海外メディアは疑問を投げつけている。 USAトゥデーが「この説明はスポーツにおける不正な薬物使用の言い訳に聞こえる」と痛烈に批判したのは、CASの聴聞会で、ワリエワ側が祖父が心臓治療薬を服用しており、その同じコップを使用して水を飲んだため、禁止薬物「トリメタジジン」が検出されたのではないかと主張した部分だ。「こんなもっともらしいことがあるのだろうか」とズバリ斬りこんだ。 また規則で禁止されていない物質とはいえ、さらに2つの心臓治療薬の成分が検出されたことに関しても、ドーピング検査で陽性を示した「トリメタジジン」と同時に出たことへの不自然さを指摘している。 「心臓病治療薬であり、ドーピングで禁止されているトリメタジジンが問題になったのは、少なくとも冬季五輪では3回連続である。また“知らずに摂取してしまった”と主張する選手も初めてではない。しかし、今回の事件の大きな違いは、ワリエワは、他にも2種類の心臓治療物質を服用していたという点になる。これは、ロシアによるパフォーマンス向上戦略の一環である可能性を示しているのかもしれないし、あるいは、偶然に心臓病の薬を飲んでしまったと主張しながら、実は、15歳にして心臓病を患っているのかもしれない」と皮肉めいた表現で不審点を指摘した。 また同メディアによると、米アンチドーピング機構の最高責任者であるトラヴィズ・タイガート氏は、こんな見解を述べたという。 「15歳の五輪選手がこれら3つの物質を組み合わせた“カクテル”を使用したことは、組織的にドーピングに関与していた過去のあるロシア人による洗練されたパフォーマンス向上の戦略を示しているのかもしれない。そうでなければ、15歳の子どもが これらの物質を故意に摂取し、それを見つけるための能力を持っているとは考えにくい」 新たに明らかになった2種類の薬物成分は、ドーピング禁止リストに入っていないが、タイガート氏は「これらはすべて、ロングプログラムとショートプログラムの2つの部門でスケートをする人にはぴったりの成分だ」とコメントしている。