『北京』の不思議なつまみ「エッグ」とは? 新梅田食道街の名店バーは料理もお酒も気さくだった
その通りに食べてみると、確かに美味しい。卵と塩だけなのに不思議とコクがあってクセになる。食感や味わいとしては、目玉焼きでもゆで卵でもスクランブルエッグでもなく、それでいて、そのどれでもあるという存在。 たっぷりと熱をため込んだエッグベーカーだからこそできる料理で、目玉焼きを普通のお皿に乗せてもこうはならず、家で真似しても、この食感は作れないことがよく理解できます。
またこのグラスに入ったフォアローゼスのソーダ割も個人的に非常に好み。居酒屋などで見かける、大きなジョッキに氷たっぷりで並々と入ったハイボールではなく、小さなグラスに入った何とも大人びた感じがいいのです。
新梅田食道街と北京の関係性
エッグとお酒を堪能したところで、気になるのは店名の『北京』。実は初代マスターが鉄道の仕事で北京に滞在していたことがあって、北京を気に入ったから名前を付けたそう。あまりにもシンプルな命名がかえって不思議な魅力につながっていました。 『北京』は1950年の新梅田食道街誕生からある初期メンバーなのですが、実は新梅田食道街を「食堂街」とせずに「食道街」と名付けたのも北京の初代店主。
狭い通路を挟んで食堂やレストラン以外にも色々なお店があり、老若男女いろんな人が通り過ぎるこの場所を表すのに、これ以上ないピッタリな命名だと思います。
パッと立ち寄って飲みたい『北京』の懐の深さ
エッグをつまんでお酒を飲みながら女将さんと少し喋りつつ、他にも何か食べようとメニューを確認。乾き物のほかに、筑前煮や鯵のお刺身など家庭的なメニューがラインナップ。迷った挙句、見つけた「手造りミートソーストースト」が妙に食べたくなって注文しました。 トマトの酸味が効いたミートソースがのったトーストは、シンプルながら旨味もあって、お酒のアテにもピッタリ。フォアローゼスのソーダ割が妙に合います。 お酒にあう料理を味わいつつお酒を飲んでいると、常連さんがチラホラやってきましたが、一見である筆者がいても全然溶け込める雰囲気でした。女将さんと常連さんの話を聞きつつ、時々聞こえるガタンゴトンという電車の音と共に、時間はやさしく流れていきます。