「推しは未来を見せてくれる存在」還暦でBTSにハマった麻木久仁子が語る“シニア世代の推し活”
推し活に疲れたら休め――休んで落ち着いたら、また推しは幸せをくれる
――近年、「推し疲れ」というワードも聞かれるようになりました。麻木さんは推し疲れについてどう思われますか。 麻木久仁子: 推し疲れには様々な要因があると思いますが、一つは、推しに完璧を求めてしまっているせいかもしれません。「こんなに時間やお金をかけているのに、推しが応えてくれない」。そういうファン心理は分かります。 ただ、推し活でも恋愛関係でもそうですが、「誰かのためにやってあげている」と思っちゃったら辛いだけですよね。推し活は無理やりではないし、誰かに頼まれたわけでもない。推しが喜びを、癒しを、勇気をくれるから、私たちは自分の意思でお金と時間をかけているんです。だから、いつでもやめることができる。推し活に疲れちゃったなら、休んでみるのはどうでしょうか。彼らも人間、私たちも人間。疲れたら休む。ただそれだけのことなんですよ。ちょっと落ち着いて、改めて推しを眺めれば、また推したちは幸せをくれるし、癒してくれると思います。 私たちは推しからもらったエネルギーをありがたくいただいていれば良い。せっかくエネルギーをくれる存在に出会ったのに、それで疲れちゃうのはもったいない。ただ、疲れるくらい誰かを推す、疲れるくらい誰かを好きになるのも、人生の経験としては悪くないと思います。 ――改めて、麻木さんにとって推し活とはどんなものですか。 麻木久仁子: 人間は生きていくうえで、自分で自分を励ましながら自転車を漕いでいる。推し活は一生懸命漕いでいる自転車の後ろから、押してもらっているイメージです。ちょっとペダルが軽くなる。そうすると余裕が生まれるじゃないですか。1人で自分を励ましながら、必死に自転車を漕いでいると、風の心地よさを感じる余裕はない。でも、後ろからちょっと押してもらうと、風の心地よさを感じるための余裕ができます。それが私にとっての推し活です。もちろん、自分の人生のペダルなので、漕ぐのを忘れたり、サボったりしないようにしなきゃいけないですけどね。 ----- 麻木久仁子 1962年11月12日東京生まれ。学習院大学法学部中退。テレビ、ラジオ番組で司会者、コメンテーターとして活躍する他、知性派タレントとしてクイズ番組を中心にバラエティ番組への出演機会も多い。YouTubeチャンネル『麻木のごきげん♡ひとりごはん【vlog】』で簡単で美味しい料理の作り方を配信中。 文:冴島友貴 制作協力:BitStar